誰にでも悩みはある。神様も、化物も、人間も、桃太郎も。
中村雨歩
第1話 桃太郎
昔々、あるところにお爺さんとお婆さんがいました。
お爺さんは山に芝刈りに、お婆さんは川に洗濯に行きました。
お婆さんが川で洗濯をしていると大きな桃がどんぶらこ、どんぶらこと流れて来ました。お婆さんは桃を引き上げ、家に持って帰りました。
大きな桃をお爺さんと一緒に食べようと真っ二つに割ると、中から男の子が飛び出すように現れました。子のいない二人は、この子に「桃太郎」と名付け、大事に育てました。
桃太郎は瞬く間に元気に逞しく成長し、ある日、お爺さんとお婆さんにこう言いました。
「お爺さんとお婆さんに恩返しもしたいですし、村人に悪さをする鬼を退治しに行きたいと思います。」
「それは大層な事だ。では、家に代々伝わる鎧と刀を持って行きなさい」
とお爺さんは言い、頼もしい事を言う桃太郎を誇りに思いました。
「では、きびだんごを作ってやるから、それを持って出かけなさい」
とお婆さんも桃太郎の成長を喜び、お爺さんと共に快く送り出しました。
鬼が棲む鬼ヶ島への道中、猿、雉、犬に出会い、きびだんごを与え家来とし、共に鬼ヶ島に乗り込みました。
三匹の家来と共に、鬼たちと戦い、懲らしめ、鬼たちが貯め込んでいた宝を持ち帰ると、お爺さん、お婆さん、村人たちは大層喜びました。
めでたし、めでたし。
おそらく、日本人であれば、知らない者がいないほどに有名なおとぎ話であり、「桃太郎」は日本一有名な英雄の名であろう。そして、このお話しから「鬼」と言えば、悪者であり、恐ろしいものというイメージを持ったという人が多いのではないだろうか。
果たして、そうなのだろうか・・・?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます