『才能スタンド使いましょう』

やましん(テンパー)

『才能スタンド使いましょう』

 

『これは、フィクションです。』





 『壮絶! 宇宙オペラ!』


前史


 ツエデ東地球総理のあとの、エエフ総理は、徹底的な独裁化を進め、自分がいらないと思う人は、どんどんと収容所(名前は国立安楽寮)に入れて、いつの間にか、自然に、殺すようにしていた。


 しかし、やや、クーデターぎみに就任した、後任のゲハイ総理は、真逆の政策を実行したのである。


 つまり、先代と違い、人権を重視した彼は、才能の足りない人には、才能を足してしまおう。


 と、いう政策に出たわけだった。


 ただし、有料でだが。


 そこで、支配下の東地球全国に、所謂、才能給油所サイノウスタンドをつくり、国民はその経済力に合わせて、才能を補給できるようになった。


 ただし、その利用には、一般には、つまりだ、なんというか、上限があり、たとえば、政治家になれる才能は、非常にお高くて、高額の特別料金を払える上に、有力者2名の推薦と、さらに、筆記試験と、面接試験に合格する必要性があった。音楽家とか、小説家とか、画家もそうだ。


 伝統芸能や、天才、名門は、また、いささか、別扱いだったが。


 まあ、一般的には、才能補給して使える範囲で、通常のレベルの仕事なら、たいがいができるようになる。という、あたりである。


 しかし、これは、非常に顕著な効果があり、東地球の労働生産性が著しく高くなり、高齢者も、80歳あたりまでは、楽に就業が可能になったのである。東地球の勢力は、いっそう、高まった。


 そこで、80歳雇用法が作られ、そこまでは、病気などの特段の事情がない限り、ずっと、仕事をしなければならなくなったのだ。



   🏢👨‍💼🏢👩‍💼👩‍🌾👨‍🌾🚜🎣



 しかし、問題はあった。


 謂われのない差別が生まれた。


 つまり、効果のあまりない人もあったのである。


 その人たちは、白い目で見られたのだ。


 そこまで、働きたくない人もあった。


 また、スタンドの使いすぎで、身体を壊す人も続出したのである。


 さらに、やがて、ついに、想定外のエスパーが生まれたのである。


 それこそが、希代の魔術師、雲蛇羅毎夜蘭ウンジャラマイヤラであった。


 彼女は、あっという間に勢力を拡大し、ついには政権をひっくり返し、魔術師党を率いて、ついに、東地球総理の座についたのである。


 もはや、『才能スタンド』は、不要になったのだが、彼女はそれを止めなかった。それなりに、使い道があったからである。『使えるものはみな最後まで丁寧に、使いましょう。』が、彼女のモットーであった。


 東地球は、まさしく、魔法の時代、に入ったのである。


 とにかく、なんでもが、良く見えた。素晴らしいと思えたのだ。


 しかし、やはり、内実は、実質的格差は増えるばかりであり、ただ、魔法によって、良く見えているだけなのである。まさに、『見た目政権』だったのだが、東地球での人気は、非常に高かった。しかし、西と南地球には、実にやっかいなことでも、あった。



    😡😡😡😡😡


 情景


第11惑星女王 タビリオン


 『東地球首相は、どうしている? ご機嫌か?』



宰相 カスタネット


 『まいど、あほなことばかりやっているようで。はい。しかし、見た目がよいので、上手く行っていますようでありますな。』



タビリオン


 『ほほほ。あの魔法使い、ウンジャラマイヤラを、国賓として呼ぶ準備はできたか?』



カスタネット


 『はい。ぬかりなく。』



タビリオン


 『よいか、あれは、まさしく魔女だ。しかも、一流だから、侮ってはならぬぞ。なんとしても、東地球から、高濃度プルトニウムを輸入しなければならぬ。太陽から遠い我らには、なくてはならぬものだが、おろかな先代が使いすぎた。濃縮装置が壊れて修復できぬ。このままでは、やがて冷暖房が止まる。西と、南地球は、すでに核を、廃絶しているしな。あの、『聖域タルレジャ王国※』製の魔法遮断装置を、ぬかりなく、使いなさいまし。』



カスタネット


 『東地球は、我々の、超純粋核融合炉を求めてくるでしょう。』


 

タビリオン


 『よいか。端末だけ供与するのだ。一台あれば、東地球全体のエネルギーを賄える。本体は隠せ。戦争になったら勝ち目はない。地球人は、やたら兵器ばかり作ってきた歴史を持つ。我々は、平和利用しか知らない。もし、本体をとられたら、軍事利用され、必ずや征服されるぞ。近くには、地球統一も成るかもしれぬ。』



カスタネット


 『御意。』



    😤😤😤😤😤


  

 しかし、東地球政府は、着々と、勢力を高め、内密にだが、地球統一と、第11惑星征服の準備を進めていたのだ。


 そこで、女王タビリオンは、ついに、西地球政府と、南地球政府、さらに、地球ハダカデバネズミ一族に、密かに援助を求めたのだ。


 西地球政府は、すぐに、断ってきた。


 南地球政府も、やんわりとだが、拒否した。


 どちらも、勝ち目の薄い地球大戦争も、統一も、どちらも、避けたかったのである。


 一方、ハダカデバは、いまや、地球の内部の支配を固めていた。


 あの栄華を誇った、『地球ごき』でさえも、すでに、その軍門に下っていたのである。


 地球ハダカデバは、即座に支援を約束した。


 東地球政府と、首相ウンジャラマイヤラは、自らに対抗する力がある、また敵対もしていた、宿敵火星連合に、秘密裏に接触をしていた。


 こうして、第11惑星と、地球ハダカデバネズミ連合が成立した。


 西と南地球政府は、息を詰めて😤、行方をじっと見つめていたのである。


 そうして、5年後『火星連合』が地球側につき、一方、『辺境冥王星同盟』は、必然的に第11惑星側に荷担して、ついに、あの、地球の未来と第11惑星の生死、さらに太陽系の未来をかけた、『第一次太陽系大戦争』に発展したのである。


 地球人類滅亡の、第一歩である。


      🌏️


 参考資料 『地球人類と戦争』ごき大将25世著 ごき出版、 2525年。



 『地球人類の滅亡』でばねず次郎丸著 でばねず堂、 2600年。



 『地球人類は、なぜ、滅んだか?』にゃんこママ著 やましん書籍、2611年  


 ※ 『聖域タルレジャ王国』=人類滅亡後も、いまだに、どこかの異次元で生き残っているとされる、謎の王国だが、当時は地球に実在していた。また、ウンジャラマイヤラは、タルレジャ王国の王室と関係があるとも謂われるが、はっきりはしていない。



      😹


  

   🙇🙇🙇🙇🙇🙇🙇

 











 


 


 


 


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

『才能スタンド使いましょう』 やましん(テンパー) @yamashin-2

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る