一般通過JK、サンドバッグと戯れる①

「ついに! E級ダンジョン3種! 攻略しました! いえ~~い!!」


 ・おめでとおおおおおお

 ・うおおおおおおお

 ・すげえあっさりだったけどなw

 ・ってことは今日はD級?


「と、いうわけで! ここはどこでしょーか!」


 ・恒例のやつw

 ・どこだ

 ・めっちゃ平和そうな野原だな

 ・D級でこんなところあったけな

 ・いやこれって…


「はい、気付いた人もいそうだけど……平原ダンジョンだよ!」


 舞夜の背後には平原が広がっている。


 初回配信のときに訪れた平原ダンジョンである。


「以前の配信でエリゴブの腕輪の拾ったよーって話覚えてる?」


 ・まさかの平原ダンジョンw

 ・うさぎ踏み潰しに来たん?w

 ・あー踏むの楽しそうだったもんな

 ・スライム狙いかもしれん


「いやいや違うって! 

 私のことなんだと思ってるの!? 

 そうじゃなくて、これ! 見て! これだよ!」


 ・とか言いつつ背後から襲ってきたうさぎ潰してて草

 ・全く見てないのに地味にすごくね?

 ・覚えてるよ!

 ・ボスドロだよね


「覚えてくれる人いてよかった~」


 リスナーと雑談したり、からかわれながら舞夜はダンジョンの奥にどんどん足を進めていた。


 当然、なんの障害もないわけでしばらくするとボス部屋にたどり着いてしまう。


「ほい到着っ。ボス部屋に入る前に腕輪を装備してっと」


 ボス部屋にはエリゴブが待ち構えていた。


 舞夜の手に入れた、エリートゴブリンの腕輪の特殊効果、平原ダンジョンのボスが確定でレアボスになるのだ。


 エリゴブは舞夜を視認した瞬間、雄叫びを上げる。


 初回では思わず、ひるんでしまった舞夜であったが二度目は笑みを浮かべてやり過ごした。


「さて今日はみんなからのリクエストにお答えして天御心流の技について紹介していくよっ!

 興味持ってくれてめちゃめちゃ嬉しいねー」


 ・おー!楽しみ!

 ・エリゴブの頭パァンした技教えてくれるの!?

 ・つまりエリゴブはサンドバッグってわけかw

 ・でも難しいんでしょう?

 ・達人しか使えないやつか


「武術って言うとなんとなく難しく感じちゃうかもしれないんだけどね。

 天御心流は子供から大人、おじいちゃんおばあちゃんまで誰でも使いこなせるんだよ。

 やり方さえ覚えちゃえばね!」


 ・マジ?

 ・小中高文化部の俺でも!?

 ・あんな技が誰でも使えたら終わりだよw

 ・使いたい!すげえ気になるわ!


「そう! 誰でも! おりゃっ」


 背後から迫っていたエリゴブを無造作に殴りつける。


 ドゴッっと鈍い音を立ててエリゴブが崩れ落ちる。


 ・出たw

 ・棒立ちの状態で殴ってんのに威力おかしくね?w


「今やったのが初回配信のときに使った衝芯って技だよ」


 舞夜がリスナーに向けて解説をしている間に、エリゴブがスキルを使用する。


 完全回復した体力と、気の操作により強化された肉体はただの体当たりでさえ致死に至るだろう。


 だが、E級ダンジョンを3種類クリアしレベルアップした舞夜にとって大した変化ではなかった。


「ざっくり言うと、筋力ではなく重さを利用してるんだよ。

 だから私みたいなか弱い女の子でも身体の使い方さえ正しければそれなりの威力が出るんだ。

 ちなみにさっきのは腕の重さだけの威力を浸透させたよ。

 次は~……」


 ・舞夜ちゃんもスキル使わないとさすがにまずくね?

 ・か弱いとは…?

 ・なるほど

 ・完全に理解した

 ・絶対わかってないやついるだろw


 エリゴブの一撃をあっけなくかわした舞夜は再び衝芯を繰り出す。


 舞夜は拳がエリゴブの胸に当たる瞬間、腰を落とした。


 全身を脱力させた重さがエリゴブの心臓に叩き込まれる。


 またしても鈍いインパクト音を立てて、エリゴブは崩れ落ちた。


「さっきと何が違うかわかる?」


 ・わからん

 ・殴った音がエグくなったw

 ・わかった

 ・うーむ同じに見えたけどなあ

 ・わかんない教えて


「正解は接触する瞬間に腰を落としたんだ。

 この動作を加えることでさらに重さが拳に伝わるってこと!

 もっかいやるから意識して見てみたらわかると思う!」


 ・あの、エリゴブくん死んでます……

 ・舞夜ちゃんの背後でスーッと消えてって草

 ・かわいそう……

 ・教えてくれるの嬉しいんだけど絵面にワロタw


「えっ? あはは、まーそういうこともあるよね」


 ・かわいい!

 ・照れ笑いすこ

 ・笑ってごまかすな

 ・あるある

 ・いやねーからw

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