アイ
にゃん
私
彼女が泣いている姿を見るのはこれでもう3回目だ。理由はどれも同じ。付き合っていた男に振られたからだ。私は彼女に「そんな男別れて正解だよ。」と言う。このセリフも3度目だ。別れた理由は彼の浮気が原因だった。彼の家にリップが置いてあったらしい。彼女が持っていないものだった。他の女の物なんだ。彼と身体を重ねようとした時に彼の身体にキスマークが付いていたらしい。彼女がつけてのではないものが。私は「浮気する男なんかダメ!そんな男捨てちゃお!」と言った。そして彼女を優しく抱きしめた。
私の腕の中で泣きじゃくっている彼女が愛おしくてたまらない。私は彼女のことが好きだ。彼女に男ができるたびに嫉妬で狂う。私は彼女の彼氏に手を出した。別れて欲しかったからだ。彼女が気づくようにわざと彼の家にリップを置いた。彼女が気づくようにわざと彼の身体にキスマークを付けた。彼女に彼氏ができるたびに私は彼女から男を奪う。大好き。愛している。でも言葉にすることはできない臆病者だ。彼女が私の気持ちに気づいてしまったらきっと離れてしまう。離れてしまうくらいから私は彼女の1番の友達で良い。でも男ができるのは許せない。彼女の中の1番が私ではなくなるからだ。男がいなければ私は彼女の1番になれる。だから私は別れさせる。私が1番であるために。
そう考えながら彼女を抱きしめてた。あぁこの瞬間がたまらない。彼女が私の腕の中にいる安心感。彼女が私の腕の中にいる優越感。私に心を許している。愛おしくてたまらない。
「私にしとけば良いのに。」
気づいたらそう言ってしまっていた。
終わった。絶望が私を覆う。間違えた。
それだけは言わずに言おうと思っていたのに。彼女の顔が見れない。あぁ、これで私たちの関係は終わりだ。沈黙が続く。私はこの瞬間すごく長く感じた。人生で経験した中で1番長い時間を体感している。
恐る恐る彼女を見た。彼女は驚いた顔をしていた。涙は止まっていた。
私は気づいたら抱きしめられていた。
「大事にしてくれる?」
「もちろん。一生大切にするよ。」
考えるより先に答えていた。
夢だと思った。
私は彼女に抱きしめられながら幸せに浸った。
愛している。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます