三巡り 死に刻参り
ある日、菊池幸二は奇妙な手紙を受け取った。それは郵送ではなく直接ポストに投函されたもので、封筒の中には「あなたの罪を知っています」とだけ書かれたカードが1枚、その裏に捨てアドのURLとパスワードがあった。
URLは【死ニ刻参り・ドウドウ巡り】というタイトルの非公開の告発掲示板だった。そこに何人ものターゲットと思われる人間の写真がぼかして貼られている。
菊池幸二が入室パスワードを入力すると、ターゲットのぼかしが外され、さらに掲示板の先頭に菊池の名前や住所そして罪状が晒された。
『菊池幸二、34歳。H県M市の学習塾『義伸塾』T校の教室長。その裏では生徒に援交をさせて金を吸い上げている悪人。過去にホスト狂いの妻に金を持ち逃げされ……』
(こんなところで憂さ晴らしか。くだらない、子供のイタズラだ! よく調べたもんだと言いたいが、そんな暇があるならとっとと勉強しろ!)
毒づく菊池幸二だったが、掲示板の最後にはこう書かれていた。
『断ぜられた悪人にはこの後ドウドウ様から死の裁きが下されるでしょう。しかし罪を悔いそれを回避したいと思うなら、あなたには二つの方法があります。
1.指定する日付の全国紙新聞又は週刊誌に謝罪広告を載せ、罪を世間に自白する。
2.ここに名前の挙がった他の悪人に対し、あなた自身が手を下し罪を償わせる。
ドウドウ様の裁きを受けるか社会的な罰を望むかはあなた次第です。ただし決して逃れられるとは思わないでください。ドウドウ様が見ておられることを
(最後までつまらん虚仮威しを……生徒を虱潰しに当たって絶対犯人を捕まえてやる!)
菊池幸二は半ば反射的にそのサイトを閉じてしまった。しかしこの判断を菊池は後悔することになる。翌日以降パスワードは使えなくなり再入室できなくなったのだ。
それにより菊池は裁きを回避する方法を取れなくなってしまうのだが、喉元を過ぎればの例え通り、悪事に没頭することで菊池はこの掲示板のことを忘れていく。
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