フィッシュ&チップス
スコットランドでもこのイギリス料理を食べられる。
が、今から初めてスコットランドに行こうとしている諸君に言っておきたい。
レストランでは食べないこと。
屋台というか、個人経営の小さな「スタンド」で食べること。
頼むときは、"lots of vinegar and salt" と頼むこと。
これだけである。これから理由を説明しよう。
そもそもスコットランドでは、何でも揚げ物にしてしまうという文化があり、ぼくがいたときには確か Evening Times という新聞で取り上げられるくらい社会問題となっていた。チョコレートのバーをフライにしていたのである。これでは糖分どころの問題ではない。
スコットランド、特にグラスゴーを愛するぼくとしては、しかしながら、そんなフライ文化も尊重したいのである。それはとりもなおさず、単純に「旨い」からである。ではなぜ、レストランでのフィッシュ&チップスが駄目なのか。
想像して呉れないだろうか。
高級な洋食レストランで、ハンバーガーを頼もうとしてみてほしい。
立派な、完璧な「オシャレで、高尚で、映える」料理が提供されるはずだ。
果たしてその味が、マクドOルドやバーガーOングに勝てるか。否。
超高級料理店のたこ焼きが、屋台のたこ焼きに勝てるか。否。
夏祭り。浴衣をまとい、うちわを持ち、ちょっとどころかだいぶ好きな人の
隣で食べるあの屋台のたこ焼きである。
レストランの提供するたこ焼きに負けるわけがないのである。
屋台とレストランとでは天と地ほどの違いがある。
同じことがフィッシュ&チップスにも言える。
鬼の足のような草履状のデカさの衣に、ビネガーと塩をこれでもかとまぶす。
もちろんチップス(イギリスではポテトのことをこう呼ぶのだ)にもまぶす。
それを、頭からがっつりと喰らうのである。
いただくのではなく、「喰らう」のだ。
それがグラスゴー式であり、正しいフィッシュ&チップスの味わい方だ。
ちなみに、太くて長いソーセージ(日本のウインナーが見たらすっぽんぽんになって逃げだすレベルの極太ものだ)なんかも取り扱っているスタンドもあり、そこではもちろん衣で仰々しく覆われた、名状し難き「何か」が提供される。これは、フィッシュ&チップスを堪能した後、思い出した時に試してみるといい。これも旨いから。
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