雑記帳 ~エッセイや短編小説
博雅
第1話 二度見する犬
犬でも二度見する。
この事実を改めて知ったのはつい先ほど、思い出すことがあって、某Tubeで検索していた時のことだ。昔、我が家でも犬を飼っていて、その子はキャバリアという種類の女の子だった。
生前、ある昼下がり。彼女はある方向を向いて一生懸命に何かを見ていた(おそらくTVだろう)。それを僕が見ていたという構図である。ふと、こちらの視線に気づいたのか、眼だけをこちらに向けた。二度見はこれから起こる。
目をもと見ていたものに戻したまさにその次の瞬間、彼女はまた、今度は顔ごとこちらを向いたのである。時系列でいうとこういう感じだ。
(´・ω・`) (TV鑑賞中)
(^・ω・`) 「こっち見てる?」
(´・ω・`) (気のせいかな?)
(^・ω・^) 「??」(目が合ったね!)
二度見とは、僕の考えによれば、対象物を「それ」と認識したうえで、脳内がバグっている状態を表している現象なのではないかと思う。つまり、「それ」が「それ」であると認識できるまでにタイムラグが生じるため、悪い意味で経験豊かな脳はすぐさま、その「それ」の兆候が現れた瞬間に、その認識を、成功したものとして自動的にシグナルを送る。だが実際は「そうではない、先ほどの兆候を今一度確認せよ」と、それに自発的に本能が警告を発するのではないだろうか。それも、瞬時に。太古の昔、食うか食われるかの時代、犬をはじめとして動物は二度見をすることによって幾たびも、いや幾千たびも窮地を逃れてきたに違いない。
「そりゃ女房でも娘でもねぇ…死神ってやつだ」バトー、『イノセンス』士郎正宗
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます