第3話 支援物資

道中、リリーナは気になっていた疑問をハオルドに投げかけた。


「なぁ、あんた。なんだってあんな山奥に一人離れて住んでるんだ?私らを追い払ったり、食糧を配ったりしていたのにどうも村に馴染んでいるように見えない」


「…俺も薬草を探している」


「……え?答えになってないぞ。それに薬草って…本当にあるのか?!あの村に!」


「わからん。無ければ咲かせばいい。あの村は自然が豊かだからな。俺も色々調べてみたが…情報があるなら聞かせてくれ」


「…わかった。噂話程度のことしか聞いた事がないからあまり期待はしないでくれよ。ところでなんで薬草を探してるんだ?」


ハオルドは押し黙った。


「はぁ…、まぁいいや。あんた、名前は?」


「…ハオルドだ」


その後はぽつりぽつりと会話を交わし、朝方ようやく村の手前まで来た。

ここからでも疫病特有の異臭がする。


「随分と遠くから来たんだな…。よし、こいつらを配ってこい」


「そうだな、疫病も伝染るといけない」


「いや、俺は大きくて目立つ。早く行って安心させてやれ」


リリーナは荷車から食糧を下ろし村に入った。


「リリーナ!リリーナじゃないか!お前無事だったのか!良かった!…ん?その荷物は?」


「食糧だ、半年は凌げる量だ」


リリーナと食糧に村人たちが群がり、何度も頭を下げ礼を言った。


「…いや、これは私じゃなくて…」


ハオルドが待っている、戻らなければ。

リリーナが村を立ち去ろうとした時、それに気付いた村人が声をかけた。


「おい、リリーナ!どこ行くんだよ?」


「…薬草、いるだろ」


「馬鹿言え!あんなの噂に決まってるだろう!盗賊なんか続けてたらいつか殺されるぞ!」


「家族はみんな死んだ。私だけ生き残って…これ以上悲しむ人が出ないようにしたいだけだ…!」


リリーナは村人の制止を振り切ってハオルドの元に戻った。


「もういいのか?これからまた俺の村に戻るんだ、しばらくここには戻って来れないぞ」


「…大丈夫だ。行こう」


ハオルド達はまた同じ長い道のりを辿り、帰っていった。

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