19 二枚目の鏡
彼はメッセージの中で、
ここに記された『イザナミ』という名が、
謎は深まるばかりだった。
だが、
そして彼は、こう告げていた。
“こちらの時代へ来なさい”、と。
「
唐突で、信じがたい話だ。
だが、時を越える力をもつ鏡の存在を知ってしまった今、それもまるきり不可能とは言いきれない。
そのためには鏡が“二枚”必要だと、
「え……二枚!?」
そう、鏡は、二枚存在していた。
だが――違っていたのだ。
地下にあったのは、もう一枚の“別の鏡”。
“ もう一枚の鏡は封じられてしまっています。
でも大人たちは台風被害の復旧で忙しそうにしているので、
誰にも迷惑をかけないよう見に行けるかもしれません。 ”
それが、帳面の最後のページに記されたメッセージだった。
水害の直前、村中が災害復旧に追われていた頃に書かれたもの。
つまり、この記録からは
だがそれでも、このメッセージは
「そうか――
それなら、彼女の“行方不明”にも説明がつく。
地下室で見つけた鏡は、今も
だが、もう一枚――社殿にあった方の鏡は、昭和十二年の水害で流されたと伝えられている。それを今から見つけるのは、限りなく不可能に近い。
「あの鏡じゃ……ダメなのか?」
神事で使われていた、御神体の鏡だ。
それがもし、本来の鏡ではなかったとしても――御神体として祀られている以上、何らかの“力”を宿している可能性はある。
頼れるものは、もうそれしかなかった。
「なあ、
言いかけた
「……やっぱり、そう来ると思った」
「なんで嫌そうなんだよ」
「だって、これがもし本当だったら……
「あ、いや、それは……」
「それとね――」
彼女によれば、本殿は常に施錠されており、神職のみが入ることを許されているのだという。
「鍵の場所は……まぁ、わかるけど」
「――頼むよ
「それは……もちろん私だって心配だけど――」
「だろ? だったらさ、協力してくれよ!」
「でも……」
「頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む!!!! それがダメならもう一回
「…………」
「
「――わかった」
「え……ホントか!?」
「鍵、こっそり持ち出してあげるから。そのかわり、もう危ないところへは行かないで。いい?」
「……ありがとう、
「ほんと、もう……無茶ばっかり」
「でも、これで繋がるかもしれないんだ……時代を越えて」
「まだ、確証はないけどね」
「それでも、試さなきゃ始まらない」
そう言って、
「決行は今夜、夜中の十二時。境内で待ってる」
「……うん。気をつけて来てよ」
交わらぬはずだった時代と時代が、ひとつに繋がろうとしていた。
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