第14話 マスコミにバレないように頑張れ

指定された座標に行くと、そこは高校のところから数キロのところにある、3つ連なる山の麓にある触れば崩れてしまうような鳥居がある神社だった。

「ここでいいのか?」 

『はい。それじゃあ祠の前まで来てください。そこ

 がワープポータルなので。』

そう言われ、あたりを見回すと右側の視界に細く続いた獣道を見つける。

そこを少し歩くと、小さな祠がそこにはあった。

円状の空き地に中央には祠その周りを守るかのように何故か道祖神が置かれている。

にしてもレニアは何故ここを知っていたのだろうか。小さい頃じいさんと共に山道歩きをしたが、こんなところは、見たことがなかった。

しかも神社へ行くための道は鳥居から後ろには無かった。全くの不思議である。

そうこう考えていると、レニアから通信がはいる。

『無事到着したようですね。それではワープします

 ので踏ん張って下さいね。ヘマすると意識取り残

 されるので』

「おい待てめっちゃ今恐ろしいことを」

『それでは行きますよ、3、2、1、ワープ!』

「待てっつてんだうぉぉぁ!?」

地面とマテリアルレイカーが光り輝いたかと思えば、ぐわんと視界が曲がり青い空間に引きずり込まれる。

(失うな失うな失うな失うな!意識だけはマジで失

 うな!)

暫くすると、光が漏れる出口が現れ、そこに吸い込まれていく。

「おかえりなさい、烈人君。」

そこは烈人の部屋だった。

「え……マジでワープしたのか?」

「本当にワープってあるのね……」

「そうだな……ってヒカリ!?」

あまりにも自然に会話が出たので気づかなかった。

ヒカリは烈人の自室のカーペットに座り込み、我が物顔でココアを飲んでいた。

「なんでヒカリもいるんだよ!学校あるだろ!?」

「え?まぁ、あんだけの事あったし流石に臨時休校

 にはなるんじゃないかなーって」

「だとしても連絡来る前から帰らんだろ普通!」

遂にヒカリも変人の一歩手前まで来てしまったらしい。

「あ、烈人君。例のアレ、ちゃんともってきてます

 か?」

「アレっていうと……これか?」

握っていた手を開くと、つい先程倒したゼクリフォスの残骸(?)の近くにあった灰色のコアを見せる。

「そう、それです!」

素早い動作で烈人の手の平からコアをとるとなんかよくわからない機械にセットしてなんかカタカタしている。

「何その機械」

「これはマテリアルコアを錬成する機械です」

「錬成?そんな事出来るの、それ?」

その言葉を待っていたかのようにいつぞやのプロジェクターを床に設置し、起動させる。

ヴォン、という起動音とともに灰色のマテリアルコアが映し出された。

『これが錬成手順ですね。まずーー』

話が長かったので要約すると、まずこよ灰色のマテリアルコアはゼクリフォスの中級〜上位個体が自身のエネルギーを制御、貯蔵の為に自然に生成される、いわば体内器官のようなものらしく、このマテリアルコアの中にあるエネルギーを機械で色々やると、使えるようになるらしい。

「へー、勉強になったな」

「まぁ、錬成には少し時間がかかるので放って置き

 ますけどね」

さて、とレニアが二人に向き直す。

「まず、今回の戦闘で分かったことがあります。」

「分かったこと?」

「えぇ。まず1つ目は烈人君はマテリアルを使いこ

 なしていないこと。」

「そ、そんなに使えてなかったのか?」

「先程のバーンブロー、覚えてますか?」

バーンブロー。

先程の戦闘にて初めて使用した、バーンレッド本体が使用する肉体系の必殺技である。

「私の想定ではスーツの性能を引き抜いてもあのき

 んにくんの筋肉ごと爆破できる予測でした。」

確かに、先程のバーンブローはゼクリフォスごとというよりは撃ち抜いた感じなのだ。

「つまり、今の烈人は精神力が足りないってこ

 と?」

「はい。ですが精神力なんてそうそうつけれるもの

 じゃないのでこれはまだいいとして。次に戦力不

 足ですね」

「そんなにか?」

「えぇ。今までの2体はどちらも1体ずつだったので 

 タイマン出来ましたが、これから2体、3体と出て

 こられると対処出来ません。なのでーー」

レニアが保管機のようなものを操作する。

プシューッと圧縮されたなにかが開放される音とともに中身を取り出す。

それは灰色のマテリアルレイカーだった。

「烈人君とヒカリちゃんには2人目の適合者を見つ

 けて欲しいんです。」

「2人目の、適合者……」

「いやなんで私もなのよっ!」

「いやぁ、だってヒカリちゃんにもこのことバレて

 ますし、いいかなぁと。」

その言葉の直後だった気がする。再び床に穴が空いたのは。ホントやめてほしい。修理費高いんやぞ。

「で、2人目って言ってもさ、どうやって見つける

 んだよ」

「それを腕に装着すると変色するはずです。だっ

 て」

床にめり込んだ原因がいちいち通訳する必要はあるのだろうか。

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