獣に詩
水曜 あめ
#000.復讐の始まり
「ん.....ッ、しょっと。ふう..どれどれ..?」舞う砂埃を払い、覗き込む。
「ゥわわわわわ」
「ジョン?どうした?」
「な..何でもないよ、じいちゃん。猫がいただけ。うん。だから、大丈夫」
「そうか...待てジョン、今なんと?いたと言ったか?」
「...うん」
「...その石棺の中にか?」
「......うん」
「その猫はどこへ行った?」
「......」
「ジョン?猫はどこへ行った?」
「...,,,,,,,,」
「ああジョン、すまないね。じいちゃんはもう歳でな。もう少し大きな声で教えてくれるかい?」
「僕の,,,,,,,,」
「むむむ...ジョン、からかっておるのならじいちゃんは悲しむぞ?それに今は相棒なんじゃから、互いに気を使いあってだな。ジョン、もう一度聞くぞ。猫はどこへ行った?」
「だからァ!!僕の中だよォ!じいちゃ」途端、爪が飛び出し、ジョンは口から縦に裂けた。
「ひィィィ..じじじ、じょ...」
するりと猫が抜け出す。今し方の惨劇を気にも留めない様子で血の付いた毛を舐めている。
「目はよく見えてるみたいだね。さて、おなかも満たせたし、ここから出られた。ありがと。でももう行かなくっちゃ。さよならだね」
「ま...ごッ」
「盗掘の件だろう」
「ハイ、そうっす」
「一つ。こういう時は『学者』で来るべきだ。違うか?お前らの力関係は測りかねるが、時と場所をもっと考えた方がいい」
「...すまないね。変わったよ。少し研究が建て込ん
「二つ。要件を簡潔に」
「二人組のコソ泥だよ。普段は路地に住んでる。ま、二人とも死んじゃったけど」
「それで?」
「それで、というのは?」
「なぜ私の許に来た?」
「『猫』がいまして」
「予言か」
「ええ...そこで聡明な『龍王』様の見解を伺おうかと」
「フン...私が貴様のような薄汚いネズミのように逃げたり隠れたりするとでも?」
「薄汚い、とは口が過ぎますな。訂正を」
「それは私の座を奪ってから言え」
「『猫』が奪う前に、ですね」
微かに風が吹き、部屋は静寂を取り戻した。
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