前知の最強スキル使い〜予知スキルが全力で俺の平穏を邪魔してくる〜

あおぞら@書籍9月3日発売

第1章 異能学校と予知スキル

第1話 予知とはとんだゴミスキルである

 誰しも1度くらいは思ったことがあるのではないだろうか。



 

 ———自分の未来が見てみたい、と。



 

 例えば、自分の将来。

 例えば、未来の経済の動き。

 例えば、未来の天気。

 例えば、次の試験の答え。


 上に挙げたモノの他にも、見たい未来は人それぞれだろう。

 兎に角、未来が見れたら……それも何度も見れたなら良いのにと思ったことが少なからずあるはずだ。

 

 そんな君達に忠告だ。


 未来が見たいなら、予知はやめておけ。 

 予知とか言うモノには絶対頼るな。

 もし未来が見たいなら自分でタイムマシンを作って見に行ってみるといい。


 より正確に言えば、はやめておけ、ということだ。


 だが、中には『え、未来が見れるだけ良くないか?』とか思ってる奴らがいるだろう。

 そんな奴らに言いたい。



 ———お前は馬鹿か?

 


 断言しよう。 

 制御出来ぬ予知など使い物にならない。

 

 なぜなら……その予知が必ずしも自分の未来だというわけではないからだ。

 また、自分に都合の良い未来が見られることなど殆どない———いや違った、からだ。

 寧ろ、制御出来ぬ予知などストレスが溜まるだけ。


 だって考えてみろ。


 仮に未来を見たとしよう。

 それがまず自分に関わることなのか、そうではないのかで既に大きく変わってくる。


 そして制御出来ないのだから、この世の中のどれかの未来を見ることになるわけだ。

 その中で自分が関わっている未来などたかが知れている。

 つまり99%くらいの確率で関係ない未来を見ることになるだろう。


 はい、この時点で既にゴミ。

 自分に関係ない未来を見たところでデメリットこそあれど、メリットは全くない。


 更にそんな中で人が死ぬような事件や事故の未来を見てみろ。

 もう後味悪いったらありゃしない。

 そんなものを見た日には、間違いなく最悪な気分に陥るだろう。


 つまり今までのを纏めると、予知は一切使い物にならない超絶ゴミ能力。

 百害あって一利なしとかいう逆の意味でブッ壊れ能力である。


 因みに、何故わざわざこんなことを言っていると思う?


 それは———。




「あー、くそッ……今日も最悪な気分だ」



 

 ———俺、佐々木ささき怜太れいたが、5年前の12歳から現在進行形で実際にそのとんだゴミ能力のせいで大変な目に遭っているからである。











「……今日の予知夢は殺人事件か……」


 俺は起きたばかりのため、ボサボサの髪のまま愚痴を漏らして時計を見ると……もう朝の7時。

 普通に学生の俺からすれば絶望である。


 基本的に予知スキルが発動するのは寝ている間であり、結構鮮明な未来が映像として見えてしまうので……こういった未来を見た時は睡眠の質がクソ悪い。

 酷い時は眠た過ぎて平衡感覚が狂い、ベッドから起き上がれなくなるくらいだ。


「くそっ……眠っ……」


 俺は眠気で意識が完全に覚醒しきっていない状態で、スマホを手繰り寄せる。

 そしてカレンダーのアプリを開くと、今日見た未来の日付の所に何時何分にどこで何が起きるのかを記入した。

 

「まぁこれでいっか。もう時間もヤバいし」


 さて……アイツにも電話しておくか。


 俺はいつも一緒に学校へと登校しているアイツ———広瀬ひろせ悠真ゆうまに電話を掛ける。

 何度かのコール音の後に繋がった。


『あーい……どちら様でしょうか……』

「俺だよ俺俺」

『オレオレ詐欺は受け付けておりません』

「あ、おい待———切りやがったアイツ……」


 普段ならこの冗談にも付き合ってくれるのだが……どうやらアイツも今日は遅刻コースらしく余裕がないのかあっさり切られた。

 俺は通話終了の画面を見ながら……もう一度掛けるのは普通に面倒なのでスマホを収める。


 しかし、今度は向こうから電話が掛かってきた。

 俺は無視するのも忍びないので仕方なく出る。


「……もしもし」

『おい、何で掛け直さねぇんだよ!』

「なら切るなよ……」


 コイツは何でこうも無駄なことが多いんだろうか。


『それで何だ? こちとら遅刻コース一直線でヤバいんだが?』

「俺休むから真希ちゃんに言っといて」

『……お前、また真希ちゃんに殺されるんじゃね?』

「大丈夫大丈夫。何とかなる……はず。多分、きっと」


 だって真希ちゃん———俺の担任であり従姉の佐々木真希まきは俺がしょっちゅう休む理由を知っている唯一の人間だからな。

 まぁ毎度ドナドナされるけど。


『まぁお前が良いなら良いけど……出席日数大丈夫なん?』

「残念なことに全然問題ないね。あの学校成績が全てじゃん」

『まぁ確かに。俺ほどではないけどお前もそこそこ成績良いもんな』


 因みに、俺達が通う『第3異能学校』は日本で名前の通り3番目に有名な学校だ。

 まぁ1番目も2番目も同じ系列の学校なんだけど。


 そして俺の悪友である悠真は我が第3異能学校の十傑第2席である。

 つまり、日本の学生の中でもトップクラスに強い。

 おまけにめちゃくちゃイケメンで、今の様子からは想像もできないが気遣いも出来る完璧超人だ。


 それに比べて俺は顔こそ整っているが悠真ほどではなく……校内序列も39位と非常に微妙な数字である。

 

 いや、アイツが凄すぎるだけで全校生徒360人中39位って結構良い方だからな? 顔も。

 だから『悠真の下位互換』とか言う不名誉極まりないあだ名は本当にやめて欲しい。

 まぁアイツと居るのは楽しいので絡むのはやめないが。


 俺はパパッと手早く支度を済ませる。

 制服ではなく真希ちゃんが買ってくれたロングコート着込み、恥ずいが仮面も付ける。

 


「さて……今日も頑張りますかね、人助け」



 俺はスマホのカレンダーを見ながら———【転移】を発動させた。





 これが、予知スキルに振り回される俺の死ぬほど面倒な日常だ。




—————————————————————————

 今作は予知に振り回されている主人公が文句を垂れながらも人を助け、色々なことに巻き込まれる話です。

 勿論コメディー要素もあります!


 ここまで読んで下さり、ありがとうございます。

 モチベで執筆スピード変わるので、続きが読みたいと思って下さったら、是非☆☆☆とフォロー宜しくお願いします!

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