ダンジョン死体処理

山田です。あなたを潰します。

初仕事

魔物魔法学院を卒業し、新卒として西サバア王国近辺のダンジョンに就職した。

就職し最初に配属されたのは死体処理チームだった。周りの評判は最悪で一番のハズレ枠と言われている。

死体処理と言っても、ただ焼いたり切ったりするわけではない。

いい顔の女は復活させ、筋肉質な男は調理し、それらを魔王城に配達したりしている。

単純なだけな仕事ではないのは鼻をつんざく死体の匂いは何度も嗅いでも慣れないとの噂だ。

こんな仕事続けられるだろうか、と少しの不安を抱えながら初仕事の要請がきた。

事務室に放送が流れる。

「5番通路、トラップ、僧侶、魔法使い、男2 」

放送が流れると俺ら死体処理チームは機械的にマニュアル通り動く。

事前に組まれていたリザードさん、スライムさん、俺、のチームで少しの会話を交わし準備をする。

準備が終わり、スライムさんの特定の場所に移動できるワープゲートを使い死体のある5番通路に移動する。

通路は暗く、松明と言った少しの光源を頼らなければ何も見えないと言った感じだった。

死体は豪華な装いを纏っていて、熟練の僧侶と魔法使いと言った印象を受ける。そして臭い。

こんなやつらでもこんなしょうもない天井から出てくる針トラップに殺されちまうのか。

俺は三人組の中で一番歴が浅く、先輩達の動向を見守ることしかできない。

「じゃあちょっとゴブリンくん。僕が死体燃やしとくからさ、前ら辺から誰か来るか見張っといて欲しいな」

「あ、はい!わかりました」

スライムさんとリザードさんが、死体の処理をし俺が見張り役となった。

耳をすまし、目を見開き、アリ一匹かすら見逃さないと言った具合に見張る。

少しホコリが宙を舞うぐらいでそれ以外は何も起こらない。

ホコリがずっと舞っている。

ホコリがずっと舞っている。

ホコリがずっと舞っている。

なぜ?風は吹いていないぞ。おかしい。

俺は思考をめぐらせている間に顔を下に向け前方を見ていなかった。

「死ねッッ!!!クソゴブリン!!!」

怒りに身を任せたような声が俺を襲った。

咄嗟に腕を出し剣から身を守る。

腕に剣が当たった。

腕の骨を溶かすように俺の腕を断ち切った。

「はぁ…はぁ…はぁ…」

姿をよく見ると剣士のような姿をしている。

真っ赤な鎧は炎を模しているようにも見えるし、魔物の血のようにも見える。

コイツは死体達の仲間だろうか…

今はそんなことはいい。早く何か抵抗しなければ…

だが時は既に遅かった。

剣士は第二撃の準備を完了していた。

母親の父親とが頭に浮かぶ。

いままでありがとうそしてごめんなさい。お父さん。お母さん。

「諦めんな!ゴブリンッッ!!」

緑色の尻尾が飛んできて剣士を突き飛ばした。

リザードさんが自分の尻尾を切り、それを投げたのだ。

「ステルストランスペアレント…、透明化か…気持ちわりぃな…」

嫌悪の顔を表し、威嚇するよなポーズでリザードさんは俺の前に立ち俺を守る体制になる。

スライムさんは治癒魔法を俺に施し腕の再生を試みてくれている。

なんでこんなにも不甲斐ないんだ…なんでだよッ…!

せめてもの気持ちで俺はリザードさんの足と足の隙間から見える剣士の姿をよく見は観察する。

剣士は剣を筒にしまい、掌印のようなものを結び始めた。すると剣士はワープしたかのように姿を消した。

周囲に静寂が訪れる。

皆んなの額に汗が流れる。

「フレイムバースト!!!」

豪炎灯す剣が、リザードさんを襲った。

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