河童

ごむらば

第1話

私はテレビ関係の仕事でいろいろなものを製作する仕事をしています。

仕事をしていて不快に感じたのは、今までファンだったタレントの亜美さん。

彼女は小柄で可愛くスタイルもよく、テレビの中の彼女には好感を抱いていました。


しかし、実際に仕事をさせてもらうと、彼女のテレビには映らない裏の顔が見えてきました。

彼女は普通の女性なら嫌がる仕事も笑顔で引き受けますが、裏ではスタッフや裏方には自分のストレスをぶちまける事も多く、彼女の事をよく思っている人はほとんどいませんでした。

そして、私もその1人でした。


そんな時、仕事の依頼があり彼女と仕事をする事になりました。

正直、受けたくない仕事でしたが、仕方なく受ける事になりました。

仕事の内容は、彼女が着る着ぐるみを作ること。

この機会に何か彼女に仕返しをしてやろうと企てました。


依頼のあった着ぐるみは河童。

とはいっても、ゆるキャラのような可愛らしいものではなく、リアルなもの。

全身が緑色で亀のような肌、胸やお腹の辺りは白く、手や足には水掻きがしっかりと付いているもの。


着ぐるみはウエットスーツをベースに彼女を細かく採寸し、水のの中にも入れるものと指定があった。


水掻きのついた手足はウエットスーツと同じ素材を使用し、彼女が河童の本体の着ぐるみを着た後で、手袋、足袋の要領で履かせ接着剤で一体にする。

接着剤で繋げた事で出来た不自然な跡は、その部分だけ軽く熱を加えて溶かす事で自然な感じに仕上げる事が出来る様にした。


河童のリアルなマスクをウエットスーツのフードに取り付けて、彼女がマスクを被り背中のファスナーを閉めて貰うと、その後も接着剤でしっかりと塞いだ後、熱を加えて跡を消して自然な感じに仕上げていく。


河童のリアルなマスクは目の所は水中メガネのレンズを使用し、着色し中からはよく見えるが外からは全く見えなくした。


そして、河童の背中の甲羅。

ウエットスーツ内に左の健康骨から左肩、喉の辺りを通って右肩、そして右の肩甲骨に柔軟性のある板状のものが走っている。

そして、胸の下辺りにも体を左脇腹から右脇腹まで同じ板状のものが仕込まれている。

河童の着ぐるみの型崩れを防止すると共に背中側に飛び出たボルトで、甲羅を固定する役目もある。

甲羅はウエットスーツから飛び出たボルトと同じ位置に甲羅の表面が外れるようになっており、中には甲羅を河童に固定するためのナットが入っている。


取り敢えず、河童の頭と一体になった体と水掻きのついた手足、それに甲羅の作製が完成した。


本当の完成はタレントの亜美に河童の着ぐるみを着せて2度と脱げなくした時、完成となる。

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