第2話 転生ガチャ

歩き中……


 『君と同じ境遇の子が極々たま~にいるからその子らがこっち来たときに使ってるんだよね。簡単に言えば前世持ちの救済用ってところかな?』


「救済処置、ですか?」


『なんだかよく分からないまま転生させられると辛いものがあるからね。前世の記憶のせいで産まれた時から自我があると尚更ね!だからここで自ら引いて決めることで心の準備をしてもらうってのがこれの目的だよ。』


「なるほど……クソ親だったら嫌なもんは嫌ですけど神様に勝手にクソ親の子供にされるより自分の運でクソ親になる方がまだマシですしね!まぁ両方クソで誤差みたいなもんですけど……」


『いい大人がクソって何度もいうんじゃない!よし、着いた。それじゃあドンドン引いてって~』


 しばらく歩いたそこにあったのはすんごい日本でよく見るヤツだった。バン〇イのアレである。それはさておき1つの疑問が私の中に生まれていた。


(神様のくせになんで移動で普通に歩いてんだろう……)


「そういえばなんで徒歩移動だったんですか?」


『わ、忘れちゃって(((ボソ』


「え?なんて?」


『ひ、久々に転生ガチャ使うからどこに仕舞っておいたか忘れちゃってさ(ノ≧ڡ≦)☆テヘッ』


(な~にが (ノ≧ڡ≦)☆テヘッ だよ。おっさんのテヘッのどこに需要があるんだよ。絶対反省してないだろこいつ。)


「あ゙ぁ?あんたのミスのせいでこんなに長々に歩かされている、と?」


『すんませんした。いや、でもだって250年振りだし……』


「言い訳とかいらないんですけど。」


『はい……時間も押してるし引いちゃってください。』


「時間押してるの誰のせいだと……もういいですよ。で?前世のガチャと同じ感じで全部引けばいんですか?」


『ホントすんません。うん、全部引いちゃってもろて。』


(はぁ……もろてってさぁ(ry )


「最初は~これか、親ガチャ(母)?とりあえず引くか。」


『提供割合としてはこんな感じ』

 ★6   0.5%

 ★5   1.5%

 ★4   6.0%

 ★3  12.0%

 ★2  20.5%

 ★‪1  60.5%


「いや、ソシャゲかよwww」

 

(いやはや、生前こういうの好きだったとはいえまさか死んでからもガチャガチャを回すことになるとはねぇ~感慨深いですなぁ~)


"ガタガタガタ……ゴロンッ" 死亡


「お、出てきた出てきた。え~っと……なになに?産後の肥立ちが悪く……死亡?( '-' )スゥゥゥ⤴︎︎︎」


(ま~じ~か~幸先わっる!)

「マジかよ……幸先悪っ……」


『え~っと……ドンマイ?』


「ま、まぁ私が気にしたところで何かが変わる訳でもないですし?よっしゃー次引いてくぞー!」


"ガタガタガタ……ゴロンッ" 虐待親


「…………クソ親です。ありがとうございました~」


(この人の本質としては別に悪人って訳じゃなさそうだし……)

 

「まぁ妻の死で自暴自棄になってっていうのは同情の余地がある……か……」


(そうは言っても子供もまた母親を失って悲しいだろうに自分の悲しみを子供に当たり散らす時点でクソ親には変わりないんだけど……なんなの?そういう呪いでもかかってるん?)


『さぁさぁ次容姿行ってみよ~う!確率ってのは収束するからね。次か次くらいでいいの出るって!』


「お~!」


(ウジウジしてたって何も始まらん!気を切り替えて行くぞー!)


"ガタガタガタ……ゴロンッ"  銀髪美少女


「よっしゃ来たァァァァァァァ!!これで勝つる!」


『うわっ』


「性癖どストレートヤッター銀髪美少女最強ヤッターえへへへへ~うへへへへ~」"ジュルリッ"


『う~わぁ……』


「す、すいません。ちょっと興奮して見苦しいところをお見せしました。」


『ちょっと?www僕の目にはめちゃくちゃ興奮してはしゃいでるように見えたんだけど?あれれ~恥ずかしくなって誤魔化してるのかなぁ~?』


(や、やらかしたァァァァ(´°̥ω°̥`)黒歴史だよこんなの……死にたい……けどその前にこのムカつく神をぶん殴りたい!)


「神様、一発殴らせろ。」


『一旦落ち着k』


"ドゴッ"


「ふ~スッキリした。どうせ神様避けれたのにわざわざ当たってくれたんでしょ?だから今のはただ神様がドMだっただけの話。」


『避けれはしたけどそれとこれとは……やっぱもういいよ、それで。次声ガチャ引いちゃって~』

 

「ほいほ~い」


"ガラガラガラッ……ゴトンッ" カワボ


「はーい!勝ち確です、ありがとうございました~!」


『決めとくのはこんなもんかな~』


「私もついに転生かぁ~楽しみだなぁ~クソ親だから環境はアレだけど。」

 

『あ、種族と産まれる国決めてねぇじゃん。よーし種族決めるぞ~種族は特に希望なければ人間になるんだけどどうする?』


「めっちゃ重要事項じゃねぇか!人間でおなしゃす。」


『出生国は~ダーツで決めていただきま~す!』


「地図にダーツ投げるとか笑〇ラみたいだなぁ~っと……えいっ!日本当たったぜ!よっしゃー!」


『うんうん、これで必要事項は決め終えたし、そろそろお別れの時間だね。』


「それじゃ、またね。お世話になりました。」


『最後くらいは神様っぽく締めようじゃないか。ゴホンッ……不遇の時を生き抜きし魂よ、転生の理を超えし魂よ、そなたの新たなる人生が幸多からんことを祈り、冥府の王たる我が祝福を与えん。では、良き人生を。』


「運良く新たな人生を歩めるんだ、やり残しがないよう全力で楽しんでくるよ。」


『達者でな。』


「うん。」


――――――――――――――――――――――――――――――


余談

異世界転生

 

「神様~異世界転生とかってないんですか?」


『あるにはあるけど基本的には起こらないよ。異世界転生が起こる状況として2つのパターンが考えられる。


 1つ目は何らかの事象の影響によって空間に歪みが生じて、その歪みを通って魂が異世界に迷い込んで転生してしまうパターン。歪みは出来次第修正してるんだけど稀に起こるんだよね。これは事故だから転生先はランダムね。


 もう1つが君の世界でよく聞く異世界転生だね。これは神側が転生先を指定するんだ。流れとしては、まず転生先の状況に応じて世界が選ばれる。で、選ばれた世界は転生者を選定して両世界の神立会いの下該当魂の受け渡しが行われるんだ。』


「異世界転移はないんですか?」


『(ヾノ・∀・`)ナイナイwあるわけないじゃん。あんなのただの誘拐じゃん。しかも世界ぐるみの。まぁ昔はそんなことをしでかすバカがいたけどそんな神は堕天させられるからね。だからそんなことをするやつはもういないよ。』


「堕天させられた元神々って今どうしてるんですか?」


『各世界の地下奥深くに閉じ込められているよ。この世界だと僕の管轄であるタルタロス、いわゆる奈落だね。彼らは世界への反逆者だからこの牢獄にいるんだ。』


「私には関係なさそうですね……」


『お前さっき僕のことぶん殴っただろうが!まぁ普通に生きてる分には関わることがないのは事実なんだけどさぁ。これはよっぽどの大罪を犯さない限りほとんどの人にとって関係のない知識だよ。それこそ世界そのものへの反逆行為や神々に対する反逆、冒涜レベルのね。』


「それなら、大丈夫そうですねぇ……」


時間軸


「いつの時代に転生するんですか?」


『それに関してはちゃんとルールがあるんだよ。大前提として転生者を前世で生きていた時代より前の時代に転生させてはならない。それ以外は基本的には転生者に配慮したルールかな。例えば転生者の前世での死後5世紀以上未来に転生させてはならない、とかかな?これは常識や価値観の齟齬によって馴染めないことを回避するためかな。』


「へぇ~意外と考えられてるんですね。てっきりもっと大雑把だと思ってました。」


『ちなみにさっき言った5世紀っていうのは偉い神が適当に決めたらしいぞ。』


「あぁやっぱり適当なんかぁ……」

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