悪役令嬢の異世界終焉戦争外伝 終末戦争《1000年戦争》〜忘れ去られた時代の物語〜
偽りの箱
世界を見届ける者
プロローグ 今は亡き者《世界》
私は、この世界が一度滅んでいることを知っている。そして、その世界に抗い戦い抜いた一人の少女がいたことも知ってる。
だが、その滅んだ歴史を覚えている人はこの世界には誰一人いないだろう。
なぜならば、この滅んだ歴史についての文献が一切残っていないからだ。
ならなぜ私がその記憶を宿しているのか…それは私が一番聞きたいことだった。この世界に転生させられて、12年ほどたったが今でも謎のままだった。
だが、そこで私は一つ疑問に思ったことがある。
『覚えられていない歴史は歴史と言えるのだろうか?』…と。
答えは否だ。
そんな物、歴史とは呼べないだろう。
だからこそ、この誰も知らない歴史の記憶を持っている身として一つ考えたことがある。
誰も知らないこの歴史を日記に書き記そうと。
そうすれば、例え作り話と馬鹿にされたとしても彼女が最後まで守り抜いたこの世界を少しは……愛せるだろうから。
「リンちゃ~ん!準備できましたか~?」
部屋の奥から一人の女性の声が聞こえてくる。
「もうちょっとだけ待ってて~!」
「分かりました!」
私もこの後用事が入っている。大好きなアビスちゃんとデートの約束だ。この約束に遅刻することは合ってはならない。
「これで…準備良し!」
彼女が世界を救った話はまた今度にでも書き記すとしよう。今はアビスちゃんとのデートが最優先なのだから。
「お待たせ!それじゃ行こっか!」
「はい!久々のリンちゃんとのお出かけなので楽しみです!」
「そうだね~最近は色々あったから…。
特に、アルビオンの件が一番大きいはね……」
「それでも、またこうして一緒にお出かけできたのは嬉しいですね!」
「それもそうね!」
それに、私は少なからず彼女のことを哀れだと思っている。
それは、彼女は最後の最後で……。
おっと…今はこんなことを考えている場合じゃない。アビスちゃんとのデートを思いっきり楽しまなくちゃ。
「今は無き
僕は本当に君の役に立てていたのかな……」
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