第2話 転生



 2回目に目を覚ますと、部屋には誰もいなくこの状況を落ち着いて考えてみた。


 どう考えても俺は以前の記憶を持ったまま生まれ変わったみたいだ。


 先ほど乳を飲ませてくれた女性は多分俺の母親なのだろう。


だが彼女の髪の色は薄い緑色の金髪で聞いたことのない言葉で此処は何処なのか分からない。


 せめて言葉が分かればと思っていると、頭の中に声が響き。


【言語翻訳スキルを獲得しました】



 え? な、何なんだ? ・・・・又声が響き。


「私は貴方様が3歳になるまでのこの世界の案内人の賢者です。貴方様はこの世界を発展させるためにアマリア女神が前世の記憶を持ったまま転生させました。何でもお聞きください」


 アマリア女神? 初めて聞く名前の女神様だ。


 先ず此の場所を聞くことにして。


「この場所は何処なのだ?」


「此処はアマリア女神の管理するムーア世界で南ムーア大陸と北ムーア大陸あります。此処は北ムーア大陸にあるクロード帝国です。ステータスオープンと唱えてください」


 俺がステータスオープンと思うと、目の前に文字が浮かび。


名前 なし

性別 男

年齢0歳

称号 なし

レベル:1/∞

魔力量 100(最大1,000)

統率力 1   威圧力 1

武力  1   体力  1 

知性  1   精神  1

運   1   誠実  1

スキル

言語翻訳(どんな言葉でも読み書きができる)

鑑定の目(他人のステータスを見られる。善人か悪人、味方か敵か判別できる)

火魔法 1 風魔法 1 

水魔法 1 土魔法 1


 ステータスを見ていると部屋のドアが開き、あの薄い緑色の金髪の母親と思われる20代の綺麗な女性が1人の金髪の10代くらいの女性を連れて入ってきて。


「アラ! 起きたのね」


 続いて数人の部下を伴って60代の髭を生やした恰幅の良い威厳のある男性が部屋に入り俺を見て。


「ほうー! 顔はアーニャに似て可愛いではないか」


「ありがとうございます。目元は陛下に似ていますね」


「目元は余に似ているか。名前はリオンにしよう」


「リオンですか。良い名前ですね」


 言語翻訳スキルのお陰で言葉が分かるようだ。


 話を聞いていて俺の母親はアーニャといい父親は大分、年の離れた陛下と言うからにはクロード帝国の皇帝なのだろう。


 俺の名前はリオンに決まったみたいだ。


 待てよ! 父親が皇帝ならば俺は皇帝の子供なので最初から最高権力者の子供なのかよ。


 参った! 出来る事ならのんびり暮らしたいのにこの先どうなることやら。




 俺が生まれて3年が過ぎ、3歳になった。


 王宮以外には出た事がなく外の事は王宮の窓から街並みを見ただけで分からないが、王宮内の事は完全ではないが様子が分かった。


 この世界は前世のヨーロッパの中世の前期みたいで身分制度の社会で皇帝を頂点に皇族、公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵の貴族がいる。


 平民が貴族になるのは難しく兵士か騎士に応募して余程の手柄を立て将軍にでもなれば男爵になれるだろう。


 奴隷制度もあり貧しい家では子供を奴隷商人に売っているらしい。


 医療が発達しておらず子供の死亡率は50%以上で5歳になるまでに半分の子供は死ぬらしいのだ。


 この世界の案内人の賢者に聞いた話で実際俺が調べた話ではないが賢者が言うのだから間違いないだろう。


 俺は前世が予防医学の医者だったので大人になったなら今の平均年齢は45歳から50歳前後で、80歳まで生きる人は稀だから何とかして平均寿命を65歳まで伸ばせないか努力してみるつもりだ。


 王族でも例外でなく、父親である陛下は3人の皇妃の他に10人の側妃に男子17人、女子23人の子供を産ませたが生きているのは男子5人、女子10人の15人だけだ。


 女性の方の生存率が高く男性は女性の半分だ。そのうえ皇帝や貴族の後継者は男性と決まっている。


 だから貴族やお金持ちは複数の奥さんを持たないと女性が結婚できないので一夫多妻が当たり前だ。



 子供は5歳までに死ぬ確率が高いので正式に子供と認知するのは5歳の誕生日を迎えてからだ。


 俺には4人の兄がいて5番目の末っ子だ。 


 3歳になるまでこの世界の案内人の賢者に色々聞いたが、それも終わりだ。これからは自分の目で確かめて生きていかねばならない。


 後2年生きていれば正式に陛下の子供と認知され、皇子として臣下にお披露目されるが、此の不衛生な状況で5歳まで生きれられるか心配だ。


 感染症や風邪をひかないように手洗いうがいをこまめにして良く食べて運動をして体力をつける毎日なのだ。

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