第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

三毛猫

第1話 プロローグ1



 俺は15年ぶりに祖母の墓参りをするために東北の小さな町の故郷に帰り、丁度同窓会があったので卒業して初めて中学の同窓会に出席した。


 会場に着くと一番、嫌いだった家が金持ちのボンボンが俺を見るなり、わざと皆に聞こえる大きな声で。


「中卒の貧乏人が恥ずかしくもなくよくも顔を出せたな。俺は大学を出て一流企業で働いているぜ」


 俺が黙っていると調子に乗り。


「中卒ではまともなところでも働けなく今も貧乏人の癖に同級生の恥さらしだからトットと帰れ」


 近くにいた綺麗な女性の同級生が俺を馬鹿にしている男に向かって。


「貴方知らないの? 清水君はアメリカで有名な予防医学の権威で医師よ。私は看護師だからこの間、東京で清水君の講演を聞きに行ってきたわ」


「嘘だろう! 中卒の此奴が医者になれるはずがないだろう」


 俺はアイツが言う通り、小さいときに両親が亡くなり祖母に引き取られて中学まで此の小さな町で育ち、中学を卒業すると亡くなったお母さんの兄のアメリカにいる叔父さんが俺を引き取り医大まで出してくれたのだ。


 アメリカで予防医学の普及に努め、医師として有名になり今回は日本の医師会から講演を依頼され、一時帰国して祖母の墓参りとついでに同窓会に来たわけだ。


 そのことを話すと俺を馬鹿にしていた同級生は逆に皆から学歴で人を判断する馬鹿なやつだと言われて、白い目で見られている。


 俺の素性を知っていた看護師の女性は中学生の時、憧れていた村田瞳さんだ。



 同窓会が終わり東京に帰るために新幹線の駅に行こうとすると村田さんが。


「東京に戻られるのですか? 私も東京に戻るのでご一緒しても良いですか」


 勿論、俺は喜んで即座に。


「話し相手が出来て嬉しいです。ご一緒しましょう」



 新幹線の自由席が満席なのでグリーン車両に空席がないか聞くと空席あり、俺は2人分の料金を払いグリーン車両に乗った。


 席に座ると彼女がグリーン車両の料金を俺に渡そうとしたので。


「男の俺に良い恰好をさせてくれよ」


「フフフッ、分りました。お言葉に甘えさせていただきます」


 新幹線の中では互い医療の仕事なので話が盛り上がり、彼女がまだ独身だと知った。


 俺の知っている村田さんは顔も綺麗だが、頭も良くて性格も優しく男性の憧れの的だったので30歳の今も独身と聞いて驚いたのだ。



 東京駅に着くと村田さんは少し顔を赤くして。


「清水君はいつまで日本に滞在するのですか?」


「1週間で帰る予定です」


「あのう、宜しかったならグリーン車のお礼もあるので今度は私が行きつけのお店でご馳走をしたいのですが・・・・・・」


 俺も、もう1度誘いたかったので。


「喜んでご一緒します」


「良かった」



 2日後、待ち合わせ場所に行くと村田さんが綺麗すぎて思わず見とれていると彼女が。


「私、おかしいですか?」


「綺麗すぎて見とれていました」


 彼女が俺の言葉に顔を赤くして案内したのは小奇麗なイタリアンレストランで、雰囲気も良く料理も美味しく頂いた。



 食事が終わりコーヒーを飲みながら直ぐにアメリに帰るので俺は、断られるのを覚悟のうえで。


「村田さん、結婚を前提に付き合ってくれませんか?」


 村田さんは一瞬驚いた表情を浮かべた後顔を赤くして。


「私で良いのですか?」


「はい、俺、中学時代から村田さんに憧れていましたが高嶺の花と諦めていました。好きな人がいるのなら諦めますが・・・・・・」


「好きな人はいません。私も中学時代清水さんが好きでした。だからこんな私で良ければお付き合いしていただけますか」




 こうして付き合うようになり、俺はアメリカに帰ってからも2カ月に1度は日本に帰りデートをし、メールや電話で遠距恋愛を続けて1年後にめでたく結婚した。



 日本で結婚式を挙げてアメリカに帰る途中で俺たちの乗った飛行機の車輪が故障した。


 機長は胴体着陸をしたが、着陸に失敗したのか機体は爆発して炎上し俺は結婚したばかりの瞳を抱き締めたまま意識を失ったのである。




 どのくらいの時間が過ぎたのだろう?


 気が付き、目を開けると見たこともない豪華な天井で病院の豪華な個室と思っていると、金髪の綺麗な白人の女性が俺を見て何か言っている。


 話している言葉は英語ではなく初めて聞く言葉だ。


 その女性が俺を軽々と抱き上げたので驚いた。


 驚いて声を上げると。



【オギャー! オギャー!】



 赤ちゃんの泣き声で自分の手を見るとモミジの手で赤ちゃんの体ではないか。


 俺が余りの事に気が動転して泣いていると、抱いている女性が何かを言いながら乳房を俺の口に含ませた。


 赤ちゃんの本能なのだろうか、チュチュと吸い出してお腹が一杯になると猛烈に眠くなり眠ってしまったのだ。


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