第8話 第三の事件勃発



もうあの女性とは会う事が出来ないのか?!

と諦め掛けていた時、偶然に彼女と出会った。

それは奇跡と言っても良い事であろう。


急に降り出した雨の中、俺はタクシーを待っていた。

時刻は午後の8時である。

最近残業ばかりで嫌気がさしているのだが、そう簡単に会社を変わる事は出来ない。

家族も居ない俺だが、生活を維持する為には我慢が必要だ。


タクシー乗り場には何人かの列をなしていた。


その列の中に彼女が居た。

紛れもない、この前会った女性だ。

酒の強い女性だ。

俺は素早く彼女に接近し挨拶をしたが、彼女は俺を覚えていないのか、不審そうな目で見つめてくる。

「ああ、この前のお店で会った人ですね」

と、余所余所しい態度は、俺を腹立たせた。

……この女、あれほど飲ませてやったのに、俺を覚えていないのか?!……

と、怒りの感情が湧いてくる。


だが、その感情を俺は押し殺し、この女を物にすると言う下心が芽生えた。

俺は強引に彼女の腕を取り、タクシーに乗り込む。

無理は承知で彼女をホテルに連れ込んだ。


女は嫌がる素振りは全く見せない。

……遊んでいる女だな。その様な知的な顔をして、意外と淫らな女か!……

と、かってに俺は思い込んでいる


ホテルの部屋に入ると、女は俺の顔を見て、罵るかの様に、


「私の好みでは無い男だわ。でもいいわ。少しお腹も空いたし、

我慢するわ😣」

と、平然と俺に向かって云う


……この女!許せん……と思い強引にベッドに押し倒す。

……熱い、何だこの熱さわ。……


女から離れようとしたが、離れられ無い。


「やっぱり、私の想っていた通りだわ。美味しく無いわ。

貴方、女性を粗末に扱っているでしょう。

自分よりも下に見ているでしょう。

女なんて、欲望の捌け口ぐらいに想っているでしょう!

許せ無いわ。そんな奴わ。此処で蒸発してしまいなさい」


……何を言っているんだ、この女わ・・・・。熱い離してくれ!……

俺の身体が蒸発するかの様に消えていくのが見える

「熱い、誰か・・・た・す・け・て・くれ〜」


俺の意識は、このホテルに彷徨っている。






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る