タコ・ゲーム!!!

立花 優

第1話 タコ・ゲーム


 韓流映画に、「イカ・ゲーム」と言う題の映画がある。見られた人も多いであろう。ネットフリックスで、見れた映画だ。



 しかし、あれは、映画の話だけなのだろうか?今後、現実に、起きる事は果たして無いのだろうか?



 西暦2030年の日本には、押し寄せる超高齢化社会に対し、ある超過激政党が発足。



 それは、社会保障費の異常な増大、そして、極端な円安により遂に日銀が政策金利を一挙に2.5%に引き上げた事による国家予算に占める公債費の莫大な比率。これは、事実上の、国家財政の破綻を意味した。既に、日本国家の存続が危惧されたのだ……。



 発足したその超過激政党に対し、野党議員らが日本の過激派学生らと組んで、国会議事堂の一部を爆破した。

 国会閉会中と言う事もあり、死傷者が0だったものの、当該、超過激政党に属さない野党議員は全員逮捕。国家反逆罪として、超法規的措置を根拠に、全員、裁判抜きで、即、死刑実行された。



 この国会爆破事件自体が、超過激政党の自作自演だったのだが、それは後の祭り。



 こうして、日本は、あっという間に、事実上の独裁国家となったのだ。



 次に、独裁国家の日本は、ある、極秘計画の実施を決意。



 それは、『80歳定命制』なのだ。



 で、これは、一体、何の制度だ?



 極、簡単に言えば、社会保障費と年金交付額削減のため、80歳になると、本人の意思に関わらず、強制的に「安楽死」させられるのだ。



 本当に、そんな事ができるのか?



 それが憲法上も出来るのだ。



 既に、数年前に、日本国憲法は改正されており、最終条文に「緊急事態条項」の条文が追加されていたのだ。



 その条文とは、

『なお国家に、緊急の事態が生じた場合は、内閣総理大臣は国家緊急事態宣言を発し、国民の基本的人権、生存権、その他のあらゆる私権を完全に、無制限に、制限する事ができる』



 そうなのだ。もし、唯一、生き残りたければ、韓流映画の「イカ・ゲーム」を真似た名前の「タコ・ゲーム」に自ら参加して生き残る事なのだ。



 では、その「タコ・ゲーム」とは、何か?



 それが、正に、韓流映画「イカ・ゲーム」を真似たような内容で、つまりは、老人同士の殺し合いのゲームなのである。

 名前だけ聞くと、「イカ・ゲーム」のパクリのようだが、そうでは決して無いのだ。

 ……そんな、生易しい物では無い。



 飢えたタコが、時分の手足を喰って生き延びる事から、命名されただけなのだ。



 それが、この「タコ・ゲーム」の実態なのだ。



 それはルールも極簡単で、無人島に10,000人が参加し、お互いに、どう言う手段をもってしても、たった一人だけ、生き残れば、強制的な「安楽死」から逃れる事ができる。 そして、自然死までの命が、完璧に保証されるのだ。



 既に、80歳以上の高齢者は、日本国中で三千万人を超えているのだ。これによって、

一挙に、80歳以上の高齢者は、たったの三千人に減るのである。



 しかも、この、無人島は、日本には無数にあるのだ。



 では、一体、その時の総理大臣、つまり独裁者とは誰なのか?



 敢えて名前を記さぬが、日本人、初の女性総理とだけ、言っておこう。



 その女性総理いや独裁者は、国家財政破綻直前の緊急の報告を受けて、次のように、発言した。



「80歳デス!」



 このデスとは、英語の「死」を意味する。



 直ぐさま、通産省、財務省、厚生労働省、環境省、総務省等の役人が緊急招集された。



 で、『80歳定命制』を考え出した。

 しかし、この制度には、重大な抜け穴があった。つまり、その超過激政党の国会議員とその家族、それと皇族のみが、例外なのだ。



 これには、全国の高齢者が、猛反発。



 しかし、その瞬間、独裁者の女性総理は、ここで、「国家緊急事態宣言」を発令。



 自衛隊(後に正式に国軍となる)が治安出動し、デモ隊の高齢者を片っ端から戦車で轢いて行った。

 実際に、ゴールデンタイムのニュースで、高齢者のデモ隊が、無残に戦車に轢かれていく場面が次々に流れた。



 更に、東北のある高齢者部落が、かっての「米騒動」のような一大暴動を起こしたので、その高齢者部落には、燃料気化爆弾が投下され、その村は完全に全滅。

 このニュースが、国営テレビのNHKで生放送されると、高齢者らの抗議やデモは、全て、一瞬で無くなったのである。



 そして、この物語とは、たった一人だけ、生き残った、「タコ・ゲーム」生存者の、語った驚愕の実話なのである。

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