何かの色に
灰色のワンピースが見つからない。ストレッチがあって、機能性あるよなど文言を並んでいるが、それはいらない。
今は、灰色に染まりたい。グレーゾーンな気分だ。それでも、思っている灰色のワンピースは見つからない。店員さんに聞きたいが、ここはセルフのお店だ。店員など、居ないのだ。 子供服から高齢者までの幅広い年齢層に、好まれている。出入口を通れば、勝手に支払いが済んでしまう。盗難などできない場所だ。
平日の昼間は人が少ない。何平方もの敷地に、大量の服が置かれている。何時間でも入れるのだ。浅く考えて、商品を選べれば楽のだろうが、好みのものが欲しいのだ。黒や紺はある。それでも灰色はないのだ。
「ねぇ、これに似合うかな」
「君なら何でも似合うよ」
「そうだよね。」
カップルのような会話だ。でも何かがおかしい。少し様子が見たくて、並んでいる洋服の間から見ると、タブレット端末に向かって、女性が話していた。男性の声はタブレット端末から聴こえてくる。それも画面は恋愛ゲームのキャラクターだった。わざわざ買い物のシチュエーションにしている。グレーの気持ちが強くなってしまった。
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