短篇 

一色 サラ

心配性の中身

 現代文の授業、音読みについて淡々と説明をする教授。その声は薄滑らかな音を立てている。目の前に男子学生に座っている。その隣で、「ここは、間違っているわよ」と話しかけている年配女性がいる。座る席を間違えた。授業が始まるまで、机に頭を伏せて寝たいたから気付かなかった。始まりのチャイムが鳴り、席を移動するタイミングを失ってしまっていた。噂通り、うるさかった。小声で話しかけてるつもりだろうが、女性が声の通りがいいのか微かに聞こえてくる。彼らは大学で有名な人達だった。息子と母親だ。なぜか母親まで学生となって、大学まで付いてきている。男子学生は、気にせず、教授の話を聞きながら授業を受けている。

 終わりのチャイムが鳴った。「マーちゃん、ちょっとお手洗い行ってくるから、あとで来てね」母親は先に部屋から出て行った。

「お前って、凄いいよな。母親の付き添いで」

「お前って何?初対面の人にしれいじゃないか。僕がママに付いて来てるんだよ。勘違い次第でよ」

  

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