第24話 仲間を信頼する
セルティスはラグナロクで、ガルーの喉を突き刺した。ガルーは大きな音を立てて倒れる。
「やったか…」
ホークは動かないガルーを見て呟く。
何百匹もいたドラゴン型モンスターも徐々に消えていった。
この街を支配していたガルーも姿が少しずつ消えていく。
セルティスは一気に緊張が解けて、ホッとした途端に力なく倒れる。
「おっ…」
ホークは咄嗟に身体を支える。
「どうした?」
アランはセルティスの顔を覗き込んだ。
レビーは病院をすぐに探す。
今は便利だ。
スマホというものがある。
幸い、近くに病院があったのですぐに向かった。
「休めば大丈夫だよ。ものすごい緊張してたのかもしれないね。ただの疲労だよ」
女性の看護士がニコッと笑った。
「恋人?」
看護士に言われて、ホークはベッドの端につま先をぶつける。
「いや、違うって」
ホークは否定する。
「違うのか、お似合いだと思うけどな」
看護士はそう言いながら、セルティスの看病をしている。
セルティスは目を覚ました。
「ここは?」
周囲を見回した。
「なんで、病院に」
「大丈夫だったか」
アランが声をかけた。
セルティスは状況が飲み込めなかった。
レビーはセルティスに起こったことを話した。
セルティスは額に手を置いた。
「あぁ……」
失敗したなぁという表情だ。
ホークはセルティスから目を逸らしている。
そして、静かに言った。
「心配したんだぞ」
セルティスは沈黙した。
ホークはセルティスに笑顔を向けて、安堵のため息をついた。
「よかったよ、無事で。今日はゆっくり休め。疲労がたまっているんだろ」
セルティスはボソッと言った。
「悪かった。あたし、本当は怖かった」
ホークはセルティスが話すのを待った。
セルティスは静かに語った。
「仲間ができて、あたしはちゃんと守ることができるのかって。ホークやアラン、レビーがやられたのを見て、仲間を失うのが怖かった。死んだらどうしようって」
セルティスの話に呆れたのはアランだった。
「何言ってんだよ。そんなに、俺らって信じられないのか?」
「そういうことじゃない。仲間を失うんじゃないかって……」
セルティスはそう言いかけて、アランが遮った。
「それって信じてくれてないってことと同じだろ」
セルティスは黙り込んでしまった。
レビーはゆっくりと息を吐く。
「仲間を失うかもしれない。この仕事してれば、誰もがそう思う。でも、ひとりで全部なんとかしようと背負っても、精神や身体がボロボロになって倒れちまう」
セルティスは静かに口を開いた。
「これ以上は迷惑かけられない。巻き込んでごめん。これからはあたしひとりで……」
ホークは少し強めの口調でいった。
「バカか。仲間だろ! ひとりでなんとかしようと思うな!! もっと俺らを頼れ!!」
セルティスは拳を握った。
「きっと、これからもあたしと一緒に来れば、危険な目に合うかもしれない。それでも一緒に来るっていうのか?」
アランはため息をついた。
「だから、俺らは仲間だぜ。危険な目に合っても行く。四天王を倒すまでついていく」
レビーは言葉こそなかったが、ニッコリと笑った。
ホークは静かに、でも、優しく語りかけるように言った。
「全部、ひとりで背負うな。俺も一緒に背負ってやる」
セルティスは頷いた。
「ごめん、もっと頼りにするよ。ありがとう」
ホークはセルティスの耳元で囁いた。
「セルティスが仲間を守るという気持ちは十分、伝わった。だから、セルティスは俺が守ってやる」
セルティスは呆然とした。
「へっ??」
声が裏返ってしまう。
顔が赤くなっていた。
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