第17話 シオルの街
セルティスたちは、シオルの街にやってきて、嫌な光景を目の当たりした。
人々が焼き尽くされて倒れている。
セルティスは1人1人の肩に丁寧に触れる。
供養のつもりでやっていることだった。
その時のセルティスの優しい目は、戦っているときとは全く違う。
凛として強くて優しい。
その姿にホークとアランは見惚れてしまう。
セルティスはホークとアランに見られて、恥かしくなった。
「あまり、じっと見るなよ」
ホークとアランはハッとして、周囲を見回して、モンスターがいないかを確認する。
アランはホークに肘で小突いて、セルティスのことを聞く。
「なぁ、ホークはセルティスのこと、どう思ってんだよ」
ホークはいきなり言われて、動揺して転んだ。
そして、あろうことか、セルティスを巻き込んだ。
「な……何やってんだっ……!!」
セルティスは急に抱かれたような格好になった。
ホークは動揺して転んだときに態勢を崩して、セルティスの背中に身体を預ける形となってしまったのだ。
セルティスもホークも慌てて離れる。
「おまえ、何言ってんだよ! アラン!!」
ホークはアランを睨み付けた。
アランはニヤニヤしている。
「お似合いだと思うけどな」
「はぁ?」
セルティスとホークが同時にアランを見て言った。
アランは大笑いしている。
「あれでも、セルティスは寂しがっているからな。ホークが守ってやれよ」
セルティスに聞こえないようにボソボソと呟いた。
ホークは生意気な……と思ったが、セルティスを見て心に誓った。
(確かに……セルティスは守ってやらないと)
セルティスは辺りを見回した。
何かの気配を感じてラグナロクを鞘から取り出す。
ホークも気配に気づいて、ダガーを用意した。
アランは既にモンスターに気がついて、手裏剣を投げつけた。
ギュゥゥゥ
という音を立てて現れたのは、数百匹はいるであろう、イノシシ型のモンスターだ。
「量が多い」
アランはセルティスに教えてもらったように五感を鋭くし、息を吐いた。
手裏剣を連続で投げて一気にイノシシ型モンスターを倒していく。
20匹は倒したが、まだ多くいる。
もっと大量に倒したかったが、20匹が限度だったので、それが悔しかった。
セルティスは悔しがるアランに、声をかけた。
「ナイスだ。アラン。それだけ一気に片づけられたら上出来だ」
アランはセルティスに褒められて、嬉しかった。
「おう! セルティスに教わってから、ずっとトレーニングしてたからな。ありがとう!」
アランはそう言って、手裏剣を投げる瞬間だけ力を入れ、同時に息を吐く。
更に、イノシシ型モンスター10匹を倒していく。ホークはダガーでイノシシ型モンスターを倒していく。
高くジャンプして飛びかかって、ダガーを突き刺す。
セルティスはラグナロクを横に振って、駆け抜けていく。
炎化したラグナロクがイノシシ型モンスター30匹を一気に倒していく。
「しつこいな……」
男性の声がした。
セルティスが振り返ると、男性がイノシシ型モンスターにパンチを繰り出して、倒していく。
男性の周りには1000匹くらいイノシシ型モンスターがいる。
セルティスはラグナロクで一気に斬って、イノシシ型モンスターを倒していく。
「……剣士か」
構えながら、セルティスの気配を感じた男性が呟く。セルティスは自己紹介を軽くする。
「俺はレビー・フレイル。一気に片付けるぞ」
男性、レビー・フレイルはイノシシ型モンスターに飛びかかった。
ホークとアランも加わって、イノシシ型モンスターを倒していく。
イノシシ型モンスターを全部倒して、セルティスは一息ついた。
レビーは改めて、セルティスたちを見た。
レビーは赤茶色のショートヘアー。横は刈り上げだ。瞳も赤茶色。第2ボタンまで外したシャツの上に革ジャン、革ズボンの男性。
「皆、焼き尽くされている……」
アランはあまりにも残酷な姿に、悲しい気持ちになった。そんな様子を見て、レビーは言った。
「たまたま、この街にたどり着いて、この光景を目の当たりにした」
セルティスは焼き尽くされた人々を見て悲しみをこらえながら、言った。
「この街のこと調べてみる必要がありそうだな」
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