第6話 レム
セルティスはあまりにも静かなので、嫌な予感がした。
「女性を助けにきた?」
ホークは聞き返した。
セルティスは頷く。
「街で連れ去られたと聞いてな」
ホークはふーんとそっけない返事をした。
しかし、セルティスに会った時点でもう巻き込まれている。
ホークは少し考えてから、悪戯っぽく笑う。
「俺も付き合ってやるよ。だから、俺の秘宝探しにも付き合え」
「はぁ?」
セルティスはホークを睨みつけた。
「別に無理に来なくてもいい」
セルティスは手で合図する。ホークはニヤリと笑っている。
「お姫様を1人で行かせたら危険だしな」
その笑みを見てセルティスは、ホークにゲンコツをした。
「何がお姫様だ! 都合のいい奴め」
セルティスはもう一発ゲンコツした。
「おまえ、そんなことしてたら男にモテないぞ。綺麗で魅力的なのになぁ」
ホークはニヤニヤしながら言っている。
セルティスは岩が頭に落ちたような衝撃を受けた。
「あたしは別にモテたくない」
ホークといると調子が狂ってしまう。
セルティスはホークを無視して、先に進む。
この洞窟はどこまで広いのだろう。
ゴールが見えない。セルティスは周辺を見回していると、女性を発見した。
「レミちゃん??」
レミらしき女性は身体中を縛られていた。
まるで、蜘蛛の巣に引っかかったみたいだ。
セルティスは何かの気配に気付いた。ラグナロクを構えて動きを探る。
「そこかっ!」
セルティスはラグナロクを振り下ろした。
ラグナロクはキーンと音を立てて払われた。
姿を現したのは、ロボット型モンスター。
「邪魔する奴は誰だ?!」
ロボット型モンスターは、セルティスをじっと見ている。
セルティスはラグナロクを構えて、ロボット型モンスターの動きを見た。
「女か、たっぷり遊んでやるよ」
ロボット型のモンスターは、腕がマシンガンに変化した。
狙いを定めて、セルティスに連続で撃っていく。
セルティスは左右前後に飛び、華麗なステップでかわした。
しかし、連続攻撃で全てかわすのは不可能だった。
華麗にかわしていたセルティスだが、着地に失敗した。
バランスが崩れ、よろめいたところに、マシンガンを撃たれる。
「!?」
セルティスはラグナロクを振って、炎を作り出そうとした時だった。身体が宙に浮く。
「間に合った」
助けたのはホークだ。ホークはニヤリと笑った。
「ホークか」
セルティスは驚いた様子だった。
ホークは笑顔で答える。
「借りは返したぜ。女の子に助けられてそのままじゃ、格好つかないからな」
セルティスはホークを睨みつける。
「別に助けたくて助けたわけじゃない。それと」
セルティスは話を切った。
ひと息入れてから言おうとしたが、遮られた。
「惚れたか?」
ホークが悪戯っぽい笑みを浮かべている。
セルティスは呆れた。
「惚れてない! それよりいつまでそうしてるんだよ。そろそろ離せ」
冷静に答える。
助けてくれたのはいいが、お姫様抱っこのままだ。
ホークは流石に恥ずかしくなったか、すぐに離す。
「悪い」
セルティスは冷静を装っているが、少し照れている。
少なくともホークにはそう見えた。
「女の子なんだな。そういうところ」
ホークの言葉を聞いて、セルティスは脛に蹴りを入れた。
「だから、女だって言ってんだろ」
鈍い音がしたような気がしたが、セルティスは無視してロボット型モンスターを見る。
「そうか、女剣士か。俺はレム。戦うのが楽しみになってきたぜ」
ロボット型モンスター、レムはマシンガンを放ってきた。
セルティスは軽快な足取りでマシンガンをかわす。
レムはマシンガンを何発か撃ってから、ストレートのパンチをする。
セルティスは鳩尾にパンチをくらう。
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