第2話 連れ去られたレミ

 セルティスはグロリアル街に来ていた。


(ここも襲ったか)


 セルティス自身が倒してきた人間型モンスターを見ながら、心の中で呟いた。周辺を警戒しながら歩く。


「ん?」


 セルティスは立ち止まる。気配がする。


「人間かぁ。美味しそうだなぁ」


 ドラゴンの姿をしたモンスターが、セルティスを狙っている。


 セルティスは横なぎに素早く斬っていく。セルティスの愛用している剣、ラグナロクは、ビュンッと鋭い音を立てた。ドラゴンの姿をしたモンスターは、あっけなく倒れた。


 その様子を見ていた1人の男性が、セルティスに声をかけた。


「もしかして、剣士さん?」


 15、6歳といったところか。男性は怯えながら、セルティスに頼みを聞いてもらった。


「僕の幼馴染が連れ去られて……幼馴染を助けて欲しくて……」


 セルティスは怯えている男性を見て、優しい顔を向けた。


「詳しく話してくれるか?」


 男性はセルティスの優しい顔に安心して、幼馴染が連れ去られたことを説明した。


 ロボットのような化け物に、幼馴染の女性、レミが連れ去られたらしい。ただ、何処へ連れて行ったかは、わからないという。


 セルティスは頷いた。


「わかった。レミちゃんか。あたしが助ける」


 セルティスの言い方は、頼りになる。男性はセルティスなら助けてもらえるかもという確信があった。そのくらいセルティスは心強かった。

 

セルティスはレミを助けると約束し、周辺を捜索する。



 自ら手がかりとなるものを探さなければならない。セルティスは隅々まで見る。


(ロボットみたいな化け物か)


 どんな奴なのか想像しながら、進んでいく。


 グロリアル街は突然、モンスターにメチャクチャにされて閑散としてしまった。


 本来ならば、賑やかで人々の笑い声が響いていたはずだ。最近、モンスターが増えてたくさんの街を破壊していく。


 その度に人々を恐怖に陥れていくのだ。辺りを詮索していると、妙な穴を見つけた。


(洞窟……?)


 洞窟というより、モンスターの巣のようだ。


 洞窟の中へ入ろうとしたとき、何かがつま先に当たる。


 セルティスが拾い上げる。


 スマホだ。


 誰のスマホだろうか。


 個人情報もあるので、スマホの中身を見ることはしなかった。


 ただ、スマホの裏には写真が貼ってある。


 男性の写真だ。


 写真の男性は、セルティスに依頼した男性だ。


 ということは、このスマホはレミのスマホか。


 セルティスはスマホを大事に預かり、洞窟の中へ入っていった。

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