第12話 変死体
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「・・・もし、君の言っている事が本当だったら、
あの噂は本当だったのかも知れないけど、何で君は
死なないの!」
と、少し怒ったみたいに言っている。
僕が死ねば良いのにと思っているのだろうか?
「僕が生きているのは、不思議な事ですが、
僕たちがあのビルに入って、ある事をしたのです」
と、今度も稲川淳二の様に言った。
「ある事って?・・・・何よ😕」
と、先生も興味を示した。少し怖そうな態度も見えるが。
「・・・・それは、・・・ビルの壁に落書きがあって・・・・
人の名前が書いてあるのです。
その壁に・・・・・」
と、興味を引く様に勿体ぶってゆっくりと話した。
だが、先生は、
「もう辞めとく、これ以上聞くと怖いし、眠れなくなるといけないから、辞める」
と、言って椅子を滑らして元の机の前に言った。
聞いていても、馬鹿らしく思ったみたいだ
僕は、聞いて欲しいのに、残念でならない。
あのビルは悲惨な事件がありその後、廃墟ビルになった事が解ったのは、収穫であった。
……父の身に何かがあったらどうしよう?……
僕の心配は最上級に達していた。
その日も父からの連絡は無く、一人で寂しく怖い夜を
過ごした。
兄は元気でいるが、兄も父の事を気にしている。
父は何処に行ったのか?
不安な夜であった。
眠れない夜でもあった。
悲しくて、辛くて怒りの感情が湧き上がる夜でもあった。
そして次の日、警察からの連絡が、父の務める会社に入った。
それは、父の名刺を持った人の変死体が発見されたとの事であった。
僕は、父の会社の人に連れられて、身元の確認に警察まで同行した。
僕は、恐怖に震えながらも、父に対面した。
父は眠っているかの様に穏やかな表情だった。
僕は悲しみと恐怖と何者にぶつければいいのか解らない怒りと、
複雑な想いで父を見ていた。
その時である、僕の耳元で薄ら笑いをする声が聞こえた。😃
「嘘を書くからだ・・・・🙂」
父の死因は、心臓麻痺という事であった。
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