第6話 兄への思い
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僕は居ても立っても居られない気持ちであった。
……死ぬのは怖い。どうすれば避けられるのか?何故殺されなければならないのか?
やはり、あのビルに入ったのがいけなかったのか?あのビルは呪われているのか?……
悔やむ気持ちと、悲しい気持ちと、怒りにも似た気持ちが入り乱れていた。
……雄一君の死因は何?突然亡くなったと言っていたから、心臓麻痺か?それとも悪霊に殺された!?
でも、待てよ。あのビルに入った人って僕らだけでは無いはずだ。心霊スポットとか言われているから、他の人も入っているはずだ。
その人達は全員死んでいるのか?……
と、いう疑問が湧いた。だが直ぐ打ち消した。
……全員が死んでいる何てあるはずが無い。
だとしたら雄一君の死は偶然の死だ。
雄一君は何かの病気で亡くなったんだ。悪霊何って居ない……
と、ひとまず結論を出した僕であったが、
……さっきの声は何?あの声は空耳か!空耳にしては鮮明に聞こえた。だが、僕にしか聞こえていない。何故? やはり悪霊がいるのか?……
揺れ動く心が、結論を出してはそれを否定している。
時は無常に過ぎて行き、一時間目の授業は終わった。
クラスメートは雄一君の話をしている。
だが、僕の耳には聞こえてこない。
恐怖と悲しみの入り乱れた心が、その声を拒否している。
僕は考えていた
……あの時、壁に雄一君は名前を書いた。僕も書いたが兄の名前だ。
あの壁に名前を書いたから雄一君は死んだのか?
あの名前を見て悪霊が雄一君を殺した?
そんな馬鹿な事があるのか?
もしそうだとしたら、兄が危ない。僕では無い……
僕は非情な人間か!少し安堵する僕が居た。
だが、これが事実ならば兄の身が心配だ。
兄はこの町には住んでは居ない。
悪霊も探す事は出来ないかも知れない。
僕は、明日死ぬかも知れないと言う恐怖と、兄の身を心配する
気持ちと、悪霊が本当に居るのかと言う疑問を抱きながら
今日一日を過ごしていた。
雄一君の死因は、心臓麻痺で雄一君は幼い時から、心臓に
疾患があったとの事を、担任の先生からお聞きした。
……何故、雄一君は心臓に疾患があるのに、
あんな肝試しみたいな事をしたのだろうか?……
と、新たな疑問が湧いた
……あの肝試しが雄一君の心臓に負担を掛けたのかも知れない。……
その様に、一応の結論を出す僕であった。
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