第5話 友の死
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先生が入室して来る。
だが先生の態度がいつもとは違い、元気が無く消沈している。
……どうしたのだろうか?……
と、思いつつ先生の言葉を待った。
「皆さんに悲しいお知らせを、報告する事になりました」
と、潤んだ瞳で神妙に先生は言った。
先生の態度が、
全員に緊張感をもたらしたのか、誰も声を発する人はいない。
「三浦雄一君が今朝亡くなったとの報告を受けました。」
と、先生は悲しそうに沈んだ声で言った。
クラスメートは、驚きの余り声を出せない。
この現実を受け止める事が出来ないのか、
一瞬、沈黙が流れた。
僕は、小刻みな震えに襲われている。
……あの言葉、本当だったんだ。誰が呟いたんだ!……
僕は悲しみよりも、驚きと恐怖に包まれていた。
その時である、
……明日はお前だよ……と、ハッキリと聞こえる声で言われた。
……一体、何者なのか?幽霊か!悪霊か!それとも妖怪か!……
と、心で叫んではいるが、身体全体の痺れは更に強まり、
……怖い、誰か助けてください。お願いです。助けて!……
と、懇願の思いでいっぱいであった。
「先生、三浦君はいつ亡くなったのですか?死因は何ですか?」
と、誰かが全員の疑問とする所を聞いている。
「今日、三浦君のお父さんから連絡を受けたのです。
まだ、死因は解ってはいないそうですが、今朝 三浦君が起きて
こないので、見に行ったら亡くなっていた との事でした」
先生は、悲しい気持ちを殺し明確に答えてくれた。
担任の西野先生も子供を持つ親として、子供を亡くす親の気持ちは
痛いほど解るのだろう。
先生の瞳から大粒の涙が溢れ出ていた。
だが、授業は中止される事も無くいつもの様に続けられた。
先生の授業の言葉も耳には届かない。
僕は混乱しながらも、冷静に考えていた。
……何故、雄一君は死んだのか?もしかすると、
あの廃墟ビルに入ったからなのか?それとも雄一君は持病を持っていたのか?そして、耳元で囁くあの声の正体は何?……
何も結論は出せないまま、時が過ぎていく
……明日僕が死ぬ番か?……
と、恐怖に襲れている僕であった。
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