当時、三十路の不思議ちゃん② 

崔 梨遙(再)

1話完結:900字 

 不思議ちゃん、当時39歳、余談。


 AV男優さんと付き合いかけた時、


「友達を呼ぶから3人でしよう」


と言われ、走って逃げたらしい。




 当時36歳の不思議ちゃんが男を紹介してくれと言うので、僕は知人の竹内君を紹介した。竹内君は、町工場を経営していた。


「崔君、ごめん、俺、不思議ちゃんは無理や」

「そうなん? まあ、無理せんでもええで」


 ところが、不思議ちゃんは言った。


「私、竹内さんんと結婚します!」

「……」


 どういうことなのだろう? 意思疎通が全く出来ていない? 結局、結婚はしなかった。何がどうなっていたのか? 僕にはわからない。




 当時、39歳だった不思議ちゃんに言った。


「僕、知人と母校の文化祭に行くけど、来る?知人を紹介するで」

「“行け”というメッセージが来たので行きます」


 知人と不思議ちゃんはマッチングしなかった。


「とりあえず、3人で食事に行く?」


と聞いたら、


「紹介、これだけですか!?」


と言われた。何人紹介してもらえると思っていたのだろうか?


そこで気付いた、


僕の職場に未婚男性社員が何人かいたことを話したことがある。


彼等を狙って来たのかもしれない。


だが、未婚男性社員は30歳前後だったのだ。それは伝えていた。


30歳前後に39歳を紹介するわけないだろう?


30歳前後を紹介して貰えると思ったのか? 僕は呆れ果てた。




「崔さん、結婚相手のイメージは湧いてますか?」


「いや、特にイメージは無いよ。好きになった女性と一緒に暮らしたくなる、その自然な流れに身を任せてるから」

「ダメですよ、イメージは実現するんです。イメージしないと」

「じゃあ、あなたは結婚相手にどんなイメージを持ってるの?」

「私に心底惚れていて、優しくて、お金持ちで、年収は〇〇〇〇万円くらいで、専業主婦させてくれて……」

 

 と言っていたのが36歳当時の不思議ちゃん。3年後、39歳になると、


「私、結婚という形にこだわっていませんから。事実婚でも週末婚でもいいし。相手の収入にもこだわっていませんから」


言うことが変わった。


「あれ?以前言ってたイメージは?」

「何の話ですか?」

「……」



 もう連絡を取らなくなって久しいが、幸せになっていてほしい。いや、きっと幸せになっていると信じている。







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当時、三十路の不思議ちゃん②  崔 梨遙(再) @sairiyousai

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