006 絶望の先の、そのまた先に
次の日、午前中はそのまま納屋でゼロワンと一問一答をしながら今後の計画を話し合う。取り込んだ
昼になったので近くの『つるみや食堂』に行って冷やし中華を食べる。食事はしなくてもよくなったのだが【吸収】するだけではやはり味気ない。五感がある以上欲求は普通にある。遮断することもできなくはないがそこはまだにんげんのつもりだもの。
午後は図書館に行くことにして、アパートに戻って自転車を引っ張りだす。ゼロワンが自転車に興味を持つ。ロスが多い? もっと早く走れる? じゃあ後で
図書館に着いてさっそく本を手に取る。まずは百科事典だ。絵図や写真があったほうが紐付けて内容を楽に覚えることができる。
写し取るように丁寧に記憶する。本を【複写】して持っているだけでは役に立たない。ただし読む速度は以前より10倍は速い。【最適化】された目と脳のおかげだ。
記憶力だけでなく【最適化】は思考のロジックも飛躍的に向上させる。一つの言葉から連想するように思考が繋がっていく。そしてそれらをゼロワンのもつ知識と擦り合わせて深めていく。データベース? タグ付け検索? それなら新聞や雑誌はタグ付けのワードを増やしデータベースへのアクセスをスムーズにするマストなアイテムだな! ……などと言ってみる。
それからも夏休みの日々を私おれは自分を鍛えることに費やした(宿題は一週間で終わらせた)。
午前中は
昼は『つるみや食堂』に行くか納屋で自炊して食べる。そして納屋の秘密基地も充実させた。
片付けて広くなった所に【再構成】でプレハブ小屋を組み立て、ソファーベッドやミニキッチンを据えた。ラジカセも忘れない。元々電気と水道はあったしな。
トイレはない。汲み取りは面倒だしちょっと行けば公民館もあるからそこを使えばいい。ガレージハウス? そう言うと確かに秘密基地もお洒落な感じになるな。
午後は図書館に行くか錬金術の実践訓練だ。詰め込んだ知識をもとに拾い集めたガラクタを【再構成】で修理したり素材から様々なものを作ってみる。気に入らなければ【分解】してやり直し、いいと思ったものは【収納】する。
他人の作品に触れるのは自分のセンスを磨くことにもなる。何でこんなデザインにしたのか、長さや形や素材を変えるとどんなメリットやデメリットがあるのかを色々試してみる。出来のいいものは中古品屋に売ってもいいが変に目を付けられても厄介だからそれはしない。
金には困っていない。500円貯金があるからな。あらかじめ合金のインゴットを作っておけば1時間で100枚はいける。時給5万円か。夏休みが終わるころにはちょっとした金持ちだな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます