喧騒

@tasumania

喧騒

駅のホームは相も変わらず騒がしい。人々の足音に電車の通過音、学生たちの話し声に雨の音まで。私はその混じり合った雑音の中へ溶けてゆく。世界から私を音で覆い隠すように、私の存在をかき消すように纏わりついてくる。私はこの感覚がとても好きだ。私という存在が周りと一体化したような感覚に陥っていく。私自身もこの音の海の中で私を見失うように、自分の中にある小さな火種を忘れたような気になれる。一瞬、世界が静寂に包まれる。まるで見ていた動画を一時停止したように、先程まで聞こえていた音は嘘みたいに消え失せ、世界に私1人だけとなった。少しして、また私は音の海へと溶けていった。まだ眠っていたい。

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