第18話 放課後デート(ハーレム)
その日の放課後。終業とともに校門を出た俺は繁華街の駐輪場にママチャリを停め、約束の場所にて大島さんと神崎さんを待った。
さすがにお家にお邪魔するのはハードルが高いので街に繰り出すことになったのだ。
「滝人、お待たせー」
しばらくして大島さん達が姿を現した。
「滝人さん、待たせてしまいましたか?」
「とんでもありません。お二人こそわざわざここまで来させてしまって申し訳ないです」
「平気平気! 元々遊ぶならこの辺がいいなーって思ってたから。で、どこ行く? ベタだけどゲーセンにする?」
「お二人がそれでよければ。神崎さんはどうでしょう?」
「私は滝人さんと一緒ならどこでも」
神崎さんが柔らかく微笑む。解けかけの
周知の事実だが神崎さんはとんでもない美形だ。だが教室ではいつも無表情で誰とも関わらず、俺以上にクラスで孤立している。
いや、自ら孤独を突き詰めていた。
そんな彼女が笑いかける相手はきっと俺だけだろう。
俺だけが知ってる美女の笑顔。
世界の秘密を知ったみたいでちょっと優越感。
「それじゃあ、レッツラゴー!」
大島さんが拳を振り上げて先導する。俺と神崎さんは大人しくついていく。
大島さんのルックスとハイテンションぶり、神崎さんの日本人離れした美貌のおかげですれ違う人々の注目の的だ。
「(あの子可愛いなぁ。アイドルみたい)」
「(後ろの子はめっちゃキレイ。モデルかな?)」
「(いや、高校生だろ。蘭陵の制服だぜ)」
特に男性は羨望の眼差しを向けて口さがないご様子。そりゃこれほどの美少女、滅多にお目にかかれないからな。
そんな美少女二人を連れて放課後の街を歩くなんて前世では考えられないことだ。未来の俺がこの二人――いや、杉野さん含めて三人を射止めたことも未だ信じがたい。
巨額債務者、スパイ、ヒモ。どれも受け入れ難い未来だが、社畜の俺が喉から手が出るほど欲している『最愛の人』を手に入れるに至った点だけは認めたい。
*
その後、俺達は駅ビルに入ってる巨大アミューズメント施設に到着した。チカチカした電飾や大音量の音楽と効果音が毒々しいが興奮を掻き立てる。
「ゲーセン久々に来たわ! 何で遊ぶ?」
大島さんは待ちきれんと並んだ筐体を品定めする。
「ゲームセンター、好きなんですか?」
「うん、大好き! テレビゲームと違って身体動かす感じが好きなの」
確かに、ゲームセンターの筐体には太鼓や銃などユニークな端末が取り付けられており、家庭用ゲームとは一味違う楽しさがある。
「滝人、ダンスのやつやろ!」
大島さんが指差したのはリズムに合わせて足元のパネルを踏むダンスゲームだ。未来では家庭用が販売されているが、やはりアーケード版が圧倒的人気である。
「私ね、ダンスグループに所属してたから得意なの!」
アイドルじゃなくてダンスグループ? CYBERJAP●Nみたいなやつかな?
だとすれば見応えあるダンスを披露してくれそうだ。
「ふふ、滝人にダンスバトルを申し込みます」
「え、バトルですか? いいですけど下手ですよ、きっと」
ダンスゲームは一度もやったことない。しかも自慢じゃないがリズム感は悪い方だと思う。
しかも大島さんはプロだったんでしょう?
俺に勝ち目ないじゃん。
「いいのいいの、こういうのは楽しんだ者勝ちよ」
「それもそうですね。下手でも楽しむのが大事ですよね」
「勝った方は負けた方になんでも一つ命令出来ることにしましょう」
「急に油断出来なくなった!?」
楽しむのが大事なんじゃなかったっけ?
エグい条件つけられて負けられなくなってしまった。
「大島さんが勝ったら何を命令するんですか?」
「滝人の童●を予約」
「ぶふぉーー!?」
「その代わり滝人が勝ったら私の処●上げるね♡」
「どの道やること同じですよ!?」
一体なんてこと考えてるんだ、この人。女子高生とは思えない。あ、心は十分大人なのか。
「と、というか俺が童●ってどうして分かるんです?」
「だって、滝人が中学生までに卒業してるとは思えないし、女性恐怖症だから未来でもまだなんでしょ? 今の滝人は心も身体もチェリーってこと、お見通しよ!」
ご推察通り、高校入学以前に女性経験はないし、痴漢騒動のせいで大人になってもご縁がない。
「さすがは発情猫。卑猥な話になると知能指数が跳ね上がるのね。でも、恐怖症な彼の貞操をどうやって奪うのかしら?」
「もちろん冗談よ。私が勝ったら次の日曜日に1on1デートしてもらいましょうか」
「デートですか。それならまぁ……」
「それじゃあ決まりね!」
休日デートも俺には十分高いハードルだが、童●を上げるよりはずっと容易い。
そして俺が勝つ可能性は万に一つもないから日曜日の予定は確定かな。
「その勝負、ちょっと待った。滝人さんとの休日デートを賭けるなら私が受けて立つわ」
ダンスバトルを受ける流れを神崎さんが遮る。まぁ、あなたが黙ってるとは思いませんでしたよ。
「あら、私にバトルを申し込むなんていい度胸じゃない。ダンスに自信がおありで?」
「運動神経なら私が上よ」
「そういえば体力測定で随分幅を聞かせてたわね」
確かに神崎さんは体育授業の体力測定でかなりの記録を出していた。女子の中ではぶっちぎりだし、何なら並の男子を上回る記録を出してたくらいだ。
「まぁ、良いわ。受けてあげる。その代わり、私が勝ったら日曜日のデートは絶対に邪魔しないでね?」
「その言葉、そっくりそのままお返しします。日曜日は私が滝人さんを独占するので」
龍虎睨み合う。
なぜか戦いの火蓋が切って落とされた。
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