No.17 すれ違い

-鎖の部屋-

鎖は部屋に隠るとベッドの上で

コッキ電話とにらめっこ。

ベッドの横にはカラーボックスがある。

絵画の資料集や画集がストックされている。

卓上には小さな籠が置かれてあり。

その中には小さな光の珠が…。

セイントセイバーさんである。

鎖の部屋では父母方に正体を晒さない様。

姿を変えているのだ。


「電話を待っているのですか。」


「うん、鍵くんからね。」


『それにしても、鍵くん。私の家に来たいって何故なのかな?久しぶりだなあ、鍵くんが家に遊びにくるの。うふっ。楽しみだなあ。』


「鎖。その笑顔は歓喜に満ちていますね。」


セイントセイバーさんは、"ポンッ"と。

人型の姿に戻った。

そっと、ベッドに腰掛けると。

鎖がセイントセイバーの膝の上に。

頭を乗せた。


「…大丈夫ですよ鎖。今は学園の事は忘れて、そのお友達の方とカタノ羽を伸ばしなさい。」


そっと、サラサラなアルビノを撫でる。

白く淡い掌。


「…うん。ありがとう、セイントセイバー。」


セイントセイバーさんの膝の上は。

優しい香りがした…。

まるで、ママの様にあたたかくて………。

鎖はそのまま、すやすや深い眠りに、落ちていきました。


「鎖。大丈夫ですよ、貴女には、私と伝う光がいますからね。」


プルルルルルッ

…タイミンク良く電話がきました。


「あ、もしもし。鎖か?明日家、大丈夫か…?」


「貴方も大丈夫ですよ、鍵。見守っております。」


"ブツッ"


「この機械、電話と言う物はとても、ありがたい奇跡の様ですね。」


先程の声主が鍵。

なんだか荒ててはいた様子だが。

鎖のボーイフレンドならばきっと。

素敵な男の子なのでしょうと。

なんだか絆されてしまった。

セイントセイバーでした。


『さて、鍵とやら。どう申し上げた異性の人間でしょうか。』


-鍵家-

「どうしたのー?鍵、はやく眠りなさーい。」

「はぃよ。」

鍵の心の叫び声。


『やべぇ…! ありゃ鎖のおっかさんにちがいねぇ… ! は、恥ぃわ…!』



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