No.6 ファミリアス

-鎖家宅-


"ガチャン"


「あらぁ、鎖、おかえりー」


鎖は居間を通り越してダッシュで

二階へ掛け走った。


「?………どうしたのかさそら、あの子。」


「おーい、鎖はどうしたんだ母さん。」


「隠っちゃったわ。」


「…ふぅ。やれやれ、昔みたく変なアダ名つけられてまいな」


「そんなことないわ。今は私達もしっかりあの子を見守っていますもの。」


「…鎖次第だな。」


ママはエプロンを畳んで。

リビングテーブルを大布巾をかけて。

水滴を取り除いた。

パパは温かい緑茶をそっと掌に包み。

心の治癒をしました。


「やはり、母さんのお茶はあたたかいな。」


「鎖もそろそろお年頃だし、跡を継いでくれるかもね、うふふ。」


ほがらかな会話が二階まで届いた。

良かったぁ…パパとママには

気づかれていないみたい。


今、鎖の頭に過っている言葉………それは


「私が…不登校かぁ………。」


自分に限ってありえない。

まさかの"賞"でやられてしまうとは

思いもよらなかった。


『私…イヤガラセ…された。』


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