No.5 デジャヴ

-事の発端は"賞"でした-


-朝の会-


「おーし。皆。聞いてくれよ。

実は喜報告があるんだ。我がクラスの鎖が、絵画コンクールで入賞した。

皆、鎖に拍手だ…!」


え?


-そして、鎖を中心に一気に視線が集まった-


鎖はこの時、全てが終わったと感じた。

"シーン"

沈黙を切ったのがクラス1番。

本物の影に相応しいくらいに。

"ヒールな悪役"でした。


「「殻隠り」」


殻隠りって、何?


-事の発端は"賞"でした-

(そして、現在に至る。)

-放課後の事でした-


「ーーーーーっ」


女子生徒二人と、男子生徒1人。

名前も解らないけど…

多分、私を苦手とする矢先の毒牙。


一発。


「それ、…返してっ…!」


「どうぞ。」

「あはは、ひどっ!」

「おらよ~。」


窓からチェーンネックレスを捨てられた。


「ひどい…! わ、私が、何をしたって…伝うの…?」


涙が止まらない。

そして鎖の周囲を取り巻くヒールな

悪役彼女達もこれまた棘ある

言葉を吐いてしまう。


「殻に隠ってるからよ。」


…え?


「やば、先生来た…!」

「どっか行こー」

「課題めんどー」


…。


1人、誰もいない教室。

ゆっくりと、地に脚を着き身体を震わせる。

震える手に墜ちる大粒の透明な涙。

両手で水の粒子を拭き取ると、その場に崩れ墜ちたのでした。


-どうして私は…こんなことに…!?-


"ガラガラッ"


「…?鎖、どうしたんだ。」


「…っ。え、と…、な、なんでもない。……っ先に帰るねっ!」


鎖は教室の扉に立つ鍵を置き去りに。

掛け早に去っていきました。


『………鎖。』


鍵は、くしゃりと、前髪を掻き立てた。

俺、何かしたかーーーーー?


その様子を宥める枷先輩を他所に…。


『…。』



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