第3話

意識がもどった。もどってしまった。

まだ終わらないのか。まだこれが続くのか。

頭から出血していた。夜だった。

ヤブのなかにいた。山なのかもしれない。

よく覚えてない。酒を飲んでいたせいかもしれない。

ひしゃげたハイエースのなかから這い出ると、スマホのライトであたりを照らした。

深いヤブの林は闇そのものといった感じがする。

どうやら崖下に転落したらしい。

スマホのライトでは崖の頂上まで照らせないが、たぶん15メートルくらい落ちた。と思う。

夜だと距離感がつかめない。15メートルもないのかもしれない。

登るのはあきらめた。

ハイエースにもどって物資をさがす。

車体は完全に死んでいた。わたしの全財産。全人生。

なにも残ってない。

が、客の荷物はのこっていた。

オレンジデコイ。


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