ナースの習性 1
母は注射が上手かった。
小さい頃から母に打ってもらっていたが、痛いと思ったことはない。
血管が細くて見えにくい人でも、ご高齢で血管が弱くなっている人でも、母は一発で痛みもなく入れられることが自慢だった。
新人ナースさんが困っていたら交代したり、時には患者さんからご指名が入ったりしていたようだ。
そんな母と出かけたある日。
電車の吊り革につかまる人の腕を見てつぶやいた。
「あの人、注射しやすそうやわぁ」
ナースは見るところが違う。
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