ナースは動じない 3
私はすぐに扁桃腺を腫らして熱を出す子どもだった。扁桃腺やアデノイドが肥大していたせいか、いびきも大きく、食も細かった。
ある程度大きくなって体力がついたら、早めに手術をした方がいいと言われていたそうで、小学校の入学前に扁桃腺とアデノイドをとることになった。
入院して全身麻酔での手術。目が覚めると、母から「唾は出しなさい、ゴックンしちゃダメよ」と言われた。
うっすら覚えているのは、唇の端が痛くて、唾だと思って出していたのは血だったこと。
手術は口から器具を入れて扁桃腺を摘出する。幼稚園児の小さい口を器械で開いて、器具を入れるから、唇の端が切れたらしい。
扁桃腺を摘出した傷口も縫うわけではないから、止血するまでは血が出てきてしまう。
今はそんなことはないのかもしれないが、一晩中、血液混じりの唾を出す私の口元を、ティッシュで拭い続けてくれた母。
普通の親なら、こんなに血が出て大丈夫なのか?なんで唇が切れてるの?と心配だろう。
だが、後に当時のことを話してくれた母はやっぱりひと味違った。
あの時痛かったやろ。がんばったなぁ、えらかった。
ひと晩で、ティッシュ1箱使ったわー!
現役ナースはたくましい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます