両親とVTuberやることになりました?
にこころ
第1話 報告、それは幸と不幸の紙一重
「すまん…有希。お父さんな…社長兼バ美肉系VTuberやってるんだ…」
「え?」
「言えなくてごめんなさいね…お母さんもVTuberやってるの…」
「へぇ?」
「そして、有希。私の会社を選んでくれてありがとう。」
「先輩として応援するわ!」
「……………………………は?」
どうして…どうしてこんなことに…?本当になんで…?
事は一ヶ月前に遡る。俺の名前は遠藤有希。最近高校を卒業した超新鮮な大学生である。そんな僕は昔から憧れているものがあった。
それは皆さんもご存知であろう『VTuber』である。
中学生時代、若干病んでいた俺は配信サイトでVTuberと言うものを初めて知った。
好きなことを好きなようにしている彼らを見て、これまで頑張れてきたのだ。
しかし、企業VTuberというのは大抵、未成年は応募しないでねー的なのが書いてあるのである。
なので、高校卒業したその日のうちに記念受験として応募してみたのだがなんかいい感じに事が進んで面接まで行きデビューが決定したのだ。めっちゃ嬉しかった。
しかも、事務所初(バ美肉を除く)の男性VTuberなのだ。めっちゃ期待されてるってことだよな?嬉しい。
そして、そのことを両親に伝えた。⟵イマココ
「えーーーと、つまり?」
「えーーと?とりあえず、公式サイトのタレント欄を見てもらえる?」
母親にそう言われ、スマホで俺が所属する(ことになっている)VTuber事務所『ぶいりんぐ』を検索する。
タレント欄を押すと、可愛いVTuber達の顔が映し出された。やはり俺の推し箱は素晴らしい。
「えっとね…お母さんはこの子なの」
「人妻であることを公表していながらもヲタク文化に深い理解を示しリスナーたちの欲を満たしてくれる1期生の『
「めっちゃ詳しいじゃない」
「そしてお父さんはn」
「ってことは…お父さんは2期生の社長兼ムイちゃんのお婿さん兼バ美肉VTuberの『
「…詳しいな」
「………待って、つまり俺の両親は2人ともVTuberだったってこと?」
「そういうことね!」
「今まで言えなくてすまない…」
「…ってことは俺はコネで入ったってこと?」
「いや、それはないわ!…そうよね?」
「ああ、私たちはオーディションには関わってないからな、決定した後にどんな人物か見てみようと思ったら息子だった」
「状況カオス過ぎて草…じゃなくて!…え?俺ってこれから親と一緒にVTuberやるの?」
「まぁいいじゃない!親子ものって結構幅広い層に人気あるし…」
「………もしも、有希が嫌なら他の企業にいくのがいいと思う。自分らしく、好きなことを、がうちの会社のモットーだからn」
「いや、辞める気はないけど」
「理解早過ぎないか?」
「親子として売るのかどうかは聞きたいなって」
「あぁ、それも有希の意思で」
「親子ものは売れるわよ〜」
「じゃあ親子で売ります」
「なんでこんなに決断早いの?」
「いや〜初配信が楽しみねぇ〜」
やはり蛙の子は蛙。VTuberの子はVTuberなのである。なんでもいい、1回でも注目される機会があれば、あとは夢中にさせるために全力を尽くすだけ…。
初配信が楽しみだ。
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