第124話 痴話げんか
翌日の昼休み。俺たちは部室で上野さんが来るのを待った。
すると、不知火がやってきた
「はぁ。師匠、いろいろ厄介なことになってます」
「だろうな。昨日、放課後見たぞ」
「え、フードコートですか」
「そうだ。俺と陽春で居たからな」
「そうだったんですか。声かけてくれれば良かったのに」
「雫ちゃんに止められたからね」
陽春が言った。
「そうなんですね。上野さん、やっぱり……」
「上野さんの隣に居たのが下田か?」
「はい。学年一位の
「お前の隣にも女子が居ただろ」
「あ、はい。
「なるほど・・・・・・」
それだけとは思えなかったが・・・・・・
そこに声がした。
「上野雫、入ります」
上野さんが入ってくる。
「不知火いたんだ」
「あ、うん……」
「雫ちゃん! 不知火君からちょっと聞いたよ」
陽春が言う。
「そうですか。私の横に居た下田君っていうのが最近ちょっとしつこくて……勉強教えるだけなんであんまり拒否も出来なくて」
「そうなんだ。雫ちゃんが下田君を気に入ったとかじゃなくて?」
「気に入ってないですよ」
「そっか」
これで不知火も安心したかな。と思って不知火を見たが渋い顔をしている。
「不知火、どうした?」
「うーん、上野さん、ほんとに下田を気に入ってないのかなって思って」
「なんでよ」
上野さんが低い声で言う。
「だって、下田は学年一位だし、上野さんが言う知的なやつだし。好きなタイプでしょ?」
「はあ? 全然違うわよ。私が好きなのは櫻井先輩みたいな人って言ったでしょ。櫻井先輩、成績良くないし」
・・・・・・確かに俺は成績悪いけどな。
「うーん、確かに下田は成績優秀だし友達多いし、櫻井先輩とは違うけど」
友達多いし、は余計だろ。
「不知火だって、中道さんが隣に来てデレデレしてたでしょ」
「デレデレなんてしてないよ」
「してたわよ」
「違うから。中道さんは俺を上野さんに絡ませないために居るだけだよ」
「でも、まんざらでも無いみたいだったよね」
「違うよ、俺は上野さんだけだし」
それを見ていた達樹が声を出す。
「うわー、痴話げんか始まった!」
「痴話げんかじゃないです!」
上野さんが達樹に言った。
「不知火、お前も素直になれ。上野さんが下田を気に入ってないって言ってんだからそれでいいだろ」
俺は言った。
「そ、そうですね……ごめん。上野さん」
「もういいわ。不知火は中道さんと仲良くね」
「そういうこと言わないで……」
「とりあえず帰ります」
上野さんは出て行った。
「うーん、雫ちゃん、相当怒ってたな」
達樹が言う。
「ど、どうしましょう……」
不知火が言う。
「まずは謝る。次に謝る。最後に謝る。これだな」
達樹がツンデレと付き合う極意を不知火に伝えた。
「わ、わかりました! やってみます!」
不知火は部室を出て行った。
「うーん、大丈夫かな……」
陽春が言った。
「まあ、明後日の勉強会には二人来るし、その時仲直りできるだろ」
「そうだといいけど」
陽春は心配そうだった。
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