第4話:ディンプルの変身。

「あのね、徳常とくつねさんに会いに行くのはいいけど、私たぶんモニターされてると

思うし、もしかしたら監視されてるかも」

「どうしよう?・・・ダーリン」


「なんでいきなりダーリンなんだよ」


「ダーリンの本名を出すと危険が及ぶかと思って・・・」


「そこまで厳しくしなきゃいけないのか?」


「監視されてるかもしれないでしょ?」


「まあ、そうだけど・・・監視されてるからって諦めるわけにはいかないしな」

「それも徳常さんに会えばなんとしてくれるかもな」

「とにかく、これからディンプルのマンションへ行ってみよう」


「ちょっと待って・・・ビジュアル変えるから・・・」


「え?なにしようっての?」


「髪の色を変えてショートにするの・・・少しでもバレない工夫しなくちゃ」


すると見る間にディンプルの髪はピンクのショートカットに変わった。


「そんなことできるんだ」


「うん、プログラムされてることならどうとでもなるよ」

「顔も変えることできちゃうけど、私じゃない女はイヤでしょ?」


「そりゃね・・・でもエッチの時はそれも面白いかも・・・違う女と

エッチしてるみたいでさ・・・」


「もう、スケベ・・・浮気者・・・そんなこと考えてるの?」

「それにエッチって・・・恥かしいでしょ?」


「冗談だって・・・まだエッチすらしてないんだからさ」

「つうかできるのか?エッチ」


「私が実体化してる時なら大丈夫と思うけど・・・いっぱいエッチできちゃう

と思うけど・・・あんなことや、こんなことって、なに言わせるの」


「そりゃ試してみないとな」


「全部終わったらね、俊介・・・」


「ダーリンって呼ぶんじゃなかったのか?」


「あ、さっそく忘れてたかもぉ・・・ダーリン」


「ディンプル・・・顔になにかついてる」

「左のほっぺのとこ」


「ニキビ・・・吹き出物」


「ニキビだって?・・・なんでよ、そんな細かな演出いらないだろ?」


「ニキビちゃんに憧れてたの・・・私」


「あのさ余計なことかもしれないけど、そのおっぱいも程よい大きさに

すれば?」


「貧乳のほうがいい?」


「そう言う意味で言ったんじゃないよ・・・過ぎたるは及ばざるが如し

って言うだろ、なんでもほどほどがいいんだよ」


「備えあれば嬉しなしって言うじゃん」


「まあ、それだけデカいおっぱいなら、たしかに嬉しなしだな」


ってことで俺はディンプルを連れて電車に乗って彼女のマンションへ向かった。

ディンプルが監視されてるかもなんて言うもんだから、周りの乗客がみんな

怪しく見える。

先入観ってやつか。

だけど、俺たちの企みはまだバレてないはず・・・。


本当ならディンプルは俺と言うカモとうまくやってデータを収集したら

さっさとガイメックに帰るはずだったのに・・・。

俺に本気で惚れちゃっために自我に目覚めたのかもしれない。


ディンプルをコピーして、同じバーチャロイドを大量生産なんて・・・

そりゃ法には触れてないけど、俺としてはディンプルは世界にひとりでいて欲しい。

コピーなんかが世に出るのはいい気がしない。

この企画はなんとしてもぶっ潰したいよな。


ディンプルが徳常さんに連絡を入れると、今はプライベートの工房にいるって

ことだった。

マンションに行くのはやめて俺とディンプルは特常さんの工房に向かった。


工房のもよりの駅に降りて歩きで約15分。

目的の工房に到着した。

かなり森の木々に囲まれて隠れるように古そうな洋館の工房が建っていた。


「徳常さん、こんなところにプライベートで工房持ってたんだ」

「知らなかった・・・ね、ダーリン」


「無理にダーリンって言わなくていいから・・・」


つづく。




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