第4話 父、いいネタ。
ガタガタと電車が揺れる。
帰りのラッシュで電車の中は、ごった返している。
黒い髪にやつれ疲れた悠太。
メガネは指紋だらけ。
悠太「やれやれ……。」
あ、皆さん。
初めてまして!
星野悠太、空音の父です。
某企業勤めのサラリーマンです。
社畜の私ですが……今日は、定時に帰れそうです。
なぜなら、空音が漫画の限定版を所望しているからです。
「社畜の父、頑張ってね!」と空音からLINEが来ました。
しがない社畜の私は、娘の為に頑張ります!
そう……娘の為に!! 皆さん、これ大事ですよ。
イギリス人を妻を娶り、愛する子供にも恵まれ……。
妻から言われた言葉があるんです。
「夫よ。稼げ。」
いい響きだ。
大黒柱として……。
家族を守るものとして。
妻に認められるのは嬉しい限りです!
本屋にやって来た悠太。
キョロキョロと周りを見渡す。
目的のモノは……。
あった…娘よ!
悠太は、空音が欲しがっている漫画の限定版をレジに持って行く。
店員は何故か、本の表紙を裏返し悠太を見る。
悠太は、いつもの視線に耐えている。
妻よ…娘よ…なぜだ…なぜ私に…。
店員は、裏表紙を悠太に向け……レジを打ち会計をする。
ありがとうございました!と店員の声が響く。
悠太は、本屋を後にする。
みなさん。
私は、今日の任務が無事終わりました!
後は、家に帰るだけです。
しかし、家に帰ってまた、空音にニヤつかれますね。
親子揃って……悪趣味ですよ。
そうこうしているうちに家に着きました。
私は、鍵を取り、扉を開ける。
空音は、台所で料理の支度をしている。
いつもの日常だ。
空音「あ!おかえり父!例の物は!?」
悠太は、鞄の中から例のモノを取り出す。
空音の目がキラキラしている。
そして、父を見てニヤつく。
空音「ありがと!父。」
悠太「どういたしまして。お姫様。」
悠太は、鞄を置き手洗いうがいをしてリビングに向かう。
空音は、本を床に置き正座している。
悠太「君たちは、一緒の行動をする生き物だな。」
空音「ん?何か言った?」
悠太「いや、何も。」
空音「なんか、今日の父……やつれてる。」
悠太「いつもと変わらんよ。」
空音「……そう?」
悠太「そうだよ。」
空音は大事に本を金庫に入れ、鍵をかける。
空音「ふふ、にっひ。」
思わず笑みが溢れてしまう空音なのだった。
時間は19時30分
夕食を取る裕太と空音。
今日は、空音特性の激辛チャーハンだ。
咽せる悠太。
空音「ハバネロ、デスソース、タバスコ入りだよ。」
悠太「ごふっ!ごふゅ!」
あまりの辛さに涙目の裕太。
涙って言うより涎かな?
空音「なんで、しんどいのに社畜やってるの父?悪魔に、 魂売ったの?」
悠太「悪魔に魂売りたい辛さだ。」
空音「いつもクソ上司が、クソ上司がって……。言ってるのに…そんなに嫌なら辞めたらいいのに。」
悠太「お金の為だ、携帯代、光熱費、食費、その他諸々。」
空音「社畜の鏡だね。」
悠太「はは…会社にいる時は、役職着いたりして勘違いしてるんだ。偉くなったてね。一歩会社の外でたら……ただのおっさん、おばさん、だ。」
悠太は空音が淹れてくれたコーヒーを飲みながら苦笑いする。
悠太「でもたまに、仕事中、俺に任せろとか…さ。俺が責任取るとか、かっこいい事言うんだよなぁー。これが…さ。惚れて…。」
ニヤニヤ笑う空音。
悠太「良いネタ、仕入れたみたいな顔しない。いいかい。空音。ろくな大人にならないでね……僕は……心配だよ……。」
空音「父。作者がクソだからな。作者に設定変更願いを出すしかないよ。」
悠太は、人一倍心配する父親なのだ。
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