第十六話

 そうして俺達は同盟を組んだ。


 仲間になったのが確定すると親睦を深めるために、俺はトランプを出す。


 もちろんやるのは大貧民だ。


 それぞれに手札を配る翔太。


 四人もいるからゲームとしておもしろくなるだろう。


 鈴香は、「いつでも戦闘できるように」と、スタンガンを片手にドアを睨んだ。あとで翔太に聞いた話だと、兄貴のほうにいいようにされてたらしい。なんでも一度も攻撃されなかったとか……。遊ばれてやがる。


「そういや、二人には俺達の紹介してなかったな」


 手札を切りながら俺達はそれぞれ自己紹介をする。


「失礼、恩にきる。僕たちも自己紹介すべきだろうか」


「名前すら知らないやつを、信頼する気にはなんねぇだろ。逆もしかりだ。よろしく頼むぜ」


 そうして二人は自己紹介した。


 弟のほうは風山立というらしく、兄貴のほうは風山小夜というらしい。ついでに双子。どうりで顔とか似ているわけだ。


 それでも好みとかはぜんぜん違うらしく、味覚はもちろんのこと、感覚の違いから喧嘩をすることもよくあるらしい。大抵小夜が指一本触れられずに、立をそのまま疲れさせて降参させるとか……。


 外から生暖かい風が吹き、賑わってる中数度目の時計の反応。そう、レーダーが午前七時を知らせたのだ。


 俺達は慌てて、近くに敵がいないか確認する。


 幸いにも敵がいる様子はなく、俺達は安堵する。いや、今なら三銃士すら怖くないかもしれない。


「そういやさ、お前らは人を殺すことについてどう思う?」


 それは俺の口から出た疑問だった。別にゲームだからって、自分のことを正当化するつもりはない。ただあとには引けないとこまで来ているのも事実だった。さっき三人でいた時は強気だったのに、俺も弱い奴だ。


「俺は、別にどうも思わない」


 最初に口を開いたのは立だった。そのまま立は口を休めることなく、話し続ける。


「実際ゲーム開始から数人の時計を奪ってきたが、そもそもそうでなくとも俺と兄貴は裏社会の人間だ」


「そうだな、俺と立は法に触れることならいくらでもやってきた。当時は戸惑うこともそりゃ、あったが、今ではもうどうともおもわない」


 そうか……。そういう価値観のやつもいるんだな。


「それで鈴香と翔太はどう思う?」


「俺は、正直学校の道徳とか嫌いだからさ、別にそれはそれでいいんじゃね? っておもう。誰だって人を殺してーって嫌なやつには思ったことあるだろうし、実際に行動に移すかだと思う」


「私も同じく。自分がやらなきゃやられるなら躊躇なく殺す覚悟はできてる」


 そうして、全員が思っていることを話した後、俺は一つの結論に至った。

 

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