第15話 悪夢の再来 side莉花
佐城くんと楓那ちゃんは帰ってきたようだ。どうやら2人は仲良くなれたような気がする。帰ってきた時の2人の表情を見たら笑顔だった。さっきまでの喧嘩腰の態度はなく、お互いがお互いを認め合うかのような感じ。
………。何故だろうか。嬉しいはずなのにイライラする。
ボクが提案してこうなることは分かっていたのに。この感覚は一体…。
「莉花先輩!佐城先輩達帰ってきたからBBQの準備して焼き始めていいですか?」
「ん?あぁ、いいよ。」
ダメだやめやめ。今は次の進行を考えなくてはいけないね。
「先輩炭足りないかもっす。」
「分かった。ボクが買いにいってくるよ。」
炭の替えを買っておくべきだったな…。
確か、受付にあったはずだから急いで行かなくては。
………。後ろを振り向くけどまだ2人は仲良さそうにしてるな…。
って、気にしてる場合じゃない!!
悶々としている間にもう受付に着いてしまった。
「すいません。炭を買いたいのですが。」
「お、ちょうどこれでラストだよ。運が良かったね。」
ん?ラスト?減りが早い。
「実は今日、君たちと別の団体さん方もいてね。何でも大人数無もんだからすぐ会場埋まっちゃってすみ使い尽くしてるんだ。」
そんなに多いのか…。仕方ないのか。
「ありがとうございます。ボクはこれで。」
「おぉ、すまんな。楽しんでな。」
「はい。」
私は炭を持ってその場を立ち去る。大人数でやるなんて相当な規模だね。
だけどなんだろうか…この嫌な感覚は。
どこかで……。
「ん?おー久しぶりじゃねーか。な?莉花。」
「っ!」
な、なんでこんなところにこいつらが…。嘘だ。
「髪を切ってもその顔立ちは変わらないもんだね〜。で、どうしてここにって顔してそうだから教えてやろうか。」
「なるほど。先輩方が大人数の団体って訳だ。」
「ご名答!つか、まだ先輩と呼んでくれるんだな。だが、安心しろ俺たちはただ遊びに来ているだけだ。邪魔はしないさ。まだな。」
ニヤつきながらこいつらは否定するがまだという感じから絶対なにかしてくる。
「それじゃぁせいぜい楽しむんだな。ふはっははは。」
くっ…。どうにかしないと。でもどうやって…。ボクはあの頃とはもう違うんだ。心が強くなってるはず…なのに。
『俺たちを頼ってください』
っ……。だけどこんなことをみんなに迷惑をかけるような真似だけはしない。
私がなんとかしないと。
「みんな、炭持ってきたよ。」
とりあえずボクはまた隠す。
笑顔でみんなにバレなように。
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