第2話 僕は走った

僕は高校を中退している。10代の頃なんてなんの柵もなく自由に過ごしていた。友達はいなくてずっと1人で本を読んだり、写真を撮ったり、絵を描いたりのんびり空を眺めたりしていた。世間一般とは、離れて暮らす生活は、楽しかった。多くの人が青春と思い浮かぶ風景は、友人とバカをやったり、学校生活を楽しんで沢山の思い出を作ることだろう。僕はそんな生活をしてこなかったが、僕なりの青春があった。

今時間がある。自由になった。だからそんな青春を取り戻そうと絵を描いたり、文章を書いたり、写真を撮るのに専念した。フリーペーパーも作った。作って1週間もしないうちに1号、2号を作り、色々な飲み屋さんに行って置かせてもらうことをした。必死になってやっていた。作品を作るのに必死に走った。僕は、絵も文章も“みんな自由になれよ!”という願いを込めて作っていた。しかし、今日個展に行った時、作家さんとお話しさせてもらったがすごく穏やかな人で「心の健康のためにも」と仰っていた。絵を描くこと自体楽しそうで、絵自体も楽しさや優しさが伝わってくる。僕は、“自由になれよ”と思いながら描いていたが、僕自身絵を楽しくかけていただろうか。いつの間中に“自由”という言葉に縛られて自由では亡くなっていた。いつか“自由とは、自由ではない。自由という事から縛られている”という言葉を聞いたことがある。自由からの解放そんな事人間ができるのだろうか。僕にはわからない。

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