周りは知らない僕の青春
むく
第1話 このままが良かった
「これは僕の中一から中三までの恋の物語」
僕には二人の弟と三人の姉のような人がいる。その姉達は母の友達の子であり、つまり他人だ。僕は三人の姉の末っ子なっちゃんに恋をした。
姉達とは僕が幼稚園の頃からの付き合いだ小学校の頃は少し家が離れた姉達としか思っていなかった。
僕がこうなってしまったのは中学校に入学して少したったときみんなで鍋をする日だった。
「今日鍋なんやって〜なに鍋かな?」
「キムチ?とかやないお母さん達好きやし」
「またか〜」
と他愛もない会話をしている時なっちゃんが言った
「ねぇりょう君好きな子とかおらんの?」
「ん〜〜」
「好きってよく分からんのよな〜」
とひねりもない回答をした。
「そっか〜」
とあくびをしていた。
車の音がし、みんなが買い物から帰ってきた。鍋の用意はすぐに終わり、鍋を食べ始めてすぐになっちゃんが顔を少し赤く染めてみんなに言った。
「私な、その、彼氏できたねん。」
と少し震えた声で言った。
ほんの数秒の沈黙のあとにみんなは
「良かったやん。その人カッコいいの?今日連れて来たら良かったのに」
などと祝いごとのように盛大に喜んでいた。
僕は少し作り笑いのような笑い方をして、こうたずねた。
「どんな人なの?」
「え〜かっこよくて優しくて背の高い人だよ」
と嬉しさと恥ずかしさを混ぜた顔で答えてくれた。
僕はこの胸にくる苦しさが分からないままその日を過ごした。
その日を境になっちゃんはあまり僕に絡んで来なくなった。
少したって梅雨が始まった季節のことだ。
僕は初めて恋愛ドラマを見た。
心がとても動かされた。こんなに胸が苦しいなんてと思っているとふと思い出す。
「なっちゃんの時と同じだ」
と思った時には僕はなっちゃんと一緒にいたい、触れたい、寂しいとそして僕は、、、
「なっちゃんが好きだ」
と理解した。
「中学一年生の梅雨空気が湿っている日 僕は初恋をした。」
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