武士転生
国芳九十九
第壱話 武士、転生す
京の都の南郊にて、戦が起きている。拙者はその戦に参戦していた。だが、この身に鉄砲の弾丸が幾度と穿ち、死んだ。
瞼を開けば、そこは全ての色が純白の場所であった。瞬きすると、目先に幾重の絹の服を着た女性が立って居た。
女性「突然で申し訳ないのですが、あなたには転生するか、地獄に落ちるという二つの選択肢があります」
拙者は困惑したが、その言葉に応えた。
拙者「拙者は…死んでおらぬか?」
女性「死にはしましたよ。ですが、あなたは死神のミスで、魂を取ることができなかったのです」
拙者「「みす」と云うのはわからぬが、転生できるのであれば、しようぞ」
女性「でしたら、この契約書に名前を書いてください。筆はこれを」
特殊な筆で紙に名前を書き、手渡した。
女性「という訳で、いってらっしゃーい。あ、それと、そちらでは一人称を変えた方が良いですよ」
女性がそう云うと、拙者は気絶した。目覚めると、朧げな視界で何者かに抱かれており、己の体は小さく感じ、朧げな視界は透き通り始め、眼前には女性の顔があったのである。
数年後
拙者は異なる世界に来たという事が分かった。この世界には日本は無く、世界地図を見ると、地形はさほど変わりないが、国名は全てが違う名前であり、日本列島の形をした国は、北方が「イズモ」で、南方が「ヤマト」というらしい。そして、拙者は貴族として生まれたらしく、階級は公爵と聞いた。拙者の名は、「シモン・アーレント」で、三男らしい。シモンは幼名らしく、十四歳になれば、「〇〇・シモン・アーレント」と云う名前になると説明された。アーレント家は、中国の位置らへんに存在しており、そこにアーレント公国が鎮座している。
アーレント家はオリエンス帝国の配下であり、アーレント家は平民の出である「ファトゥム・アーレント」が圧倒的な武勇・戦略・魅力で起こした戦績で異例の男爵から辺境伯(通常貴族になったとしても一代では男爵だけ)となり、二代目の「パラベラム・マラキア・アーレント」が主に「グレンツェ戦役・アルペン戦役・モナーク革命・コンコルディア大戦」での活躍で公爵にまで上り詰め、リュウグウ騎士団を結成し、現在も皇帝の右腕的存在として活躍している。だが、現在はコンコルディア大戦にて、世界は平和を取り戻した故、現在は魔物や盗賊などの鎮圧を主に活動している。
八歳
拙者は先日、七回目の誕生日を迎えた。
アーレント公国では、八歳になる迄は武器を持ってはならぬという伝統がある。理由はファトゥム殿が八歳になる前に武器を持つと、怪我を負い、誰が見ても才能が無いとわかるほどであったが、八歳になると、武器の才に目覚めた。という事が理由だと本に書かれていた。
拙者は父上が帝国へ赴くと聞き、付いて行ったのである。その際にリュウグウ騎士団の訓練所にも付いていくと、そこには多数の武者が模擬戦や訓練を行っていた。拙者は英雄パラベラム殿の息子と言うのもあってか、大いに歓迎され、模擬戦を行うことになった。模擬戦では、拙者の相手は重りを着け、一度でも木剣で攻撃を食らわせる事が出来れば勝ち。との事だ。この肉体は成長が早い故、やつがれの身長は四尺六寸となっている。
木剣を握りしめ、相手が振り下ろした木剣を、握った木剣で滑らせ、頭を叩いた。これにて拙者は天才だと喝采されたのだ。
六年後
拙者は十四歳となり、名を拝受しに帝都の神殿へとやって来た。神殿は、コンクリートで作られ、先の尖ったアーチに、虹の如し千差万別の色で作られた窓ガラスの、天高き神殿である。中に入ると、中央に石像が鎮座しており、石像の周りに違う石像が存在した。
法王に云われ、中央の石像に跪くと、脳に「シュラハト」という単語が現れた。立ち上がると、法王は拙者に問うた。「どの様な単語が現れましたかな」
拙者「シュ、シュラハトでございます」
法王「シュラハト…。なるほど。これより、貴方の名前は「シュラハト・シモン・アーレント」です」
第壱話 完
続
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