家が建ち深夜の蛙今はなし

 開発で野原や田んぼが消えていって、そこには壮麗な邸宅ができて、家族の笑い声が溢れる。


 かつて夏の夜には、自宅の玄関先の灯りに太った雨蛙たちが鎮座して、寄って来る羽虫に舌を伸ばしていた。

 愛らしかったかわずたち、彼らは今どこへ行ったのだろうか。


 過ぎる時間は優しくもあり、残酷でもある。

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