滅亡世界の救い方〜ゲームしてたら異世界救っちゃいました〜
歩くよもぎ
第1話 キャラクタークリエイト。
横道一樹。そこらへんにいる高校2年生。趣味はサンドボックス系のゲーム。特にマ○ンクラフトとか、セ○ンDays とか最近遊んでいる。友達とやることもしばしば。
「んぁー、大体やったしなぁ……今度はなんのサンドボックスしようかな〜……Xteamで新しいゲームがないか見てみよう」
深夜2時。俺は新たな世界を開拓するべく、ゲーム配信プラットフォームで開拓系のゲームを検索し始めた。
ヒット。
「なになに……? ドゥームダウン〜滅んだ世界を建て直せ!〜……ね」
面白そうじゃん。説明を見てみると、どうやら内容はタイトル通りらしい。
《侵略者により世界は滅んでしまった!》
《神々は死に絶え、龍は狩られ、遍く命は滅びの危機に瀕している!》
《神々の遺した遺産。それを手に、此度あなたは世界を救わなくてはならない!》
《呪いと穢れが渦巻く絶望を、根こそぎひっくり返す救い主を、我々は求めている》
ドゥームダウンver.1.0.0。リリース日は……今日!?
えぇ!? やるしかないだろこんなん!
「そうだ、あいつにもオススメしとくか」
脳裏に浮かんだのはお人好しの親友の姿。
「いやでもなぁ〜! 今頃神奈木さんとイチャコラしてんだろうなぁ……あー腹立ってきたわ。絶対俺が知識つけてから一緒にやらせよ」
リア充しやがって。絶対に、何がなんでも爆発させてやる。多分この手のゲームは爆弾あるだろ。リスキル祭りするためにもスタートダッシュは欠かせない。
俺は徐にドゥームダウンをダウンロードする。完了。
錆び付いた1本の剣が荒野に刺さっているアイコンがデスクトップに現れた。急いでクリックする。
新しいゲームをやる瞬間が、何だかんだ1番楽しい。未知の世界、未知のシステム、未知のストーリー! わくわくしてきたなぁ。黒い画面が表示され、ローディング画面が__
あ、え?
突如、デスクトップから溢れ出す黒。それはすぐさま俺の部屋を埋めつくした。
どこまでも、暗黒だ。深夜2時だから脳みそバグったか? 冷や汗が止まらない。何かとんでもない出来事に巻き込まれたような気がする。
「一体なにが、」
『ドゥームダウンへようこそ!』
虚無の黒い空間に、ポツリとウィンドウが浮かび上がり、メッセージが表示された。
『あなたは神々が唯一遺すことができた遺物、"お手軽! 救世主キット!"に選ばれました!』
『さっそくキャラクタークリエイトに移行しましょう!』
★名前 [未設定]
★種族 [未設定]
★職業 [未設定]
★レベル 0
★所持システム [ドゥームダウン][未設定]
★生まれ [未設定]
★才能 [未設定]
現れたのは、どこか古びた輝く粘土板。
これに設定しろってか? 文字を入力しようとすると、スマホのスライド式の文字パネルが出現した。随分とユーザーフレンドリーだな。
ぼんやりと考える。多分これは夢だ。何も温度とか感じないし。なら楽しんだもん勝ちだな。
名前は……いっつも使ってるしイツキでいいか。設定。
『よくできました! イツキ! これから種族を設定してください!』
ブォン。また空中に現れるウィンドウ。
★種族一覧
[人間][龍人][神人][天上人][エルフ][ドワーフ][獣人][虫人][魚人][天使][悪魔][精霊][妖精][アンデット][ゴーレム][アウラウネ][ホビット][鬼][かたつむり]………。
指でスライドして4秒ほど掛かるくらい沢山の種類がある。かたつむりってなんだよ。
ためしに人間をタップしてみる。
★人間
お前は人間だ。何事も過不足なくできる。この世界で、その知恵と悪辣で唯一生き残った種族。故にこそ、その秘められた潜在能力は凄まじい。
★生存ボーナス [採取のコツ+1][腹持ち向上+1][工作のコツ+1][秘められた才能+2]
才能ってやつがどれくらい有利に働くのかはわかんないけど……1番オーソドックスっぽいな。
★神人
お前は神人だ。何事も並以上にできる。しかし、この世界に満ちる瘴気への耐性は弱いと言わざるを得ない。何かの間違いで神器が手に入れば、世界復興への大きな力となるだろう。
★生存ボーナス [神器の扱い+3][採取のコツ+1][工作のコツ+1][神力の湧泉+1]
★バッドエフェクト [瘴気耐性-10]
★かたつむり
お前はかたつむりだ。非力で、のろまで、塩で溶ける。我々は選んだ救世主を間違えたのかもしれない。
★生存ボーナス [瘴気耐性+1]
★バッドエフェクト [鈍足+5][塩耐性-10]
★精霊
お前は精霊だ。本来であれば、最も選ぶべき種族。しかし、この荒廃した世界で精霊は消え去った。生まれ落ちた瞬間、死ぬだろう。
★生存ボーナス [自然感応+5][大地の恵み+5][豊穣の化身+3]
★バッドエフェクト [揺らぐ存在-10][瘴気耐性-8][自然補正-8]
★龍人
お前は龍人だ。強く、硬く、毒に耐性がある。しかし手元は大雑把だ。手軽に侵略者を殺すには、最も有効な種族だろう。
★生存ボーナス [龍息+3][頑健+3][疫病耐性+3][龍祖への道+1]
初めてやるゲームは王道を行くって俺は決めてるんだ。正直精霊縛りプレイとか興味あるけど……
ピコン!
★人間と精霊のハーフ
お前は人間と精霊のハーフだ。半ば物質、半ば概念。お前はこの世で最も矛盾した存在だろう。
言うなれば、そう。人霊。
★人霊
お前は人霊だ。秘められた才能は人間。その特質は精霊。この種族を選ぶのなら、自然を増やすことが先決だろう。最も侵略者に痛手を負わせたのは、神々でも龍でもなく、無数に湧き出る精霊だったのだから。
★生存ボーナス [採取のコツ+1][腹持ち向上+1][工作のコツ+1][秘められた才能+2][自然感応+1][大地の恵み+1]
バッドエフェクト [瘴気耐性-1][自然補正-1]
おあつらえ向きな種族まで追加してくれちゃったよこの夢。
選んじゃお。
★名前 [イツキ]
★種族 [人霊]
★職業 [未設定]
★レベル 0
★所持システム [ドゥームダウン][未設定]
★生まれ [未設定]
★才能 [未設定][未設定][未設定]
あれ、才能枠2つ増えてる? 人間の秘められた才能って生存ボーナスのお陰か。
『職業を選択してください!』
★職業一覧
[剣士][戦士][魔法使い][神官][開拓者]
おや、今度は少ないぞ。
★剣士
お前は剣士だ。剣の扱いに長け、生き物を斬り殺す術を持っている。尤も、侵略者に果たして素人の棒振りが通じるかどうかは未知数だが。
★職業ボーナス [剣の取り扱い+2][殺害適正+1]
★戦士
お前は戦士だ。武器の扱いに長け、生き物を殺す術を持っている。尤も、侵略者に果たして素人の玩具が通じるかは未知数だが。
★職業ボーナス [武器の取り扱い+1][殺害適正+1]
★魔法使い
お前は魔法使いだ。魔法の扱いに長け、生き物を殺す術を持っている。しかし、地に満ちる魔力は汚染され、もはやまともに魔力を練ることすら難しい。
★職業ボーナス [魔法詠唱+2][魔力転化+1][魔本制作+1][殺害適正+1]
★神官
お前は神官だ。奇跡の扱いに長け、生き物を癒す術を持っている。しかし、神々は死に絶え、もはやその祈りの先に神はない。
★職業ボーナス [奇跡の祈祷--][癒す者+2]
★開拓者
お前は開拓者だ。未踏を往き、新たな世界を開拓する。今はまだ、わずかな力。
★職業ボーナス [開墾+2][採取のコツ+1][大地の恵み+1][殺害適正+1]
うーん。サンドボックス系ゲームなら資源は重要だよなぁ。開拓者でいこう。というか魔法使いと神官に至ってはまともにプレイできるかすら怪しい。
瘴気に耐性がある種族なら、汚染された魔力でも使えるのかな。神官は……うん。何をどうしても無理だろきっと。
『新たなシステムを選択してください!』
★システム
[耕作ファームランド]
[釣り人日記]
[夢見るぼくらの建築会社2]
……? うーむ。正直よくわからない。
★耕作ファームランド
さぁ! 新たな生命を育みましょう! あなたは都会暮らしに疲れ、自然溢れる豊かな故郷に帰ってきました! 田舎の人情溢れる関係や、育つ作物を全力で楽しみましょう!
★釣り人日記
未開の地、あなたはまだ見ぬ未知の魚を釣りに出掛けた。釣った魚を売却し、より良い釣竿、エサを買い、更に価値のある魚を釣りましょう。極まった釣りの先には何かが待ち受けている。
★夢見るぼくらの建築会社2
新卒のあなたは建築会社に勤め始めた。だがしかし、まさかその会社の経営は傾きかけていて……!? 美人の同僚に教えてもらい、素晴らしい家を建て、夢見建築の経営を立て直しましょう!
なんかゲーム性違くね? どうなるんだこれ。子供の頃から牧場物語は好きだったからな。耕作ファームランドってやつにしとこう。
『生まれを選択しましょう!』
★生まれ
[貧民][浮浪者][奴隷][盗賊][村人]
なんか酷いのしかないな。
★貧民
お前は貧民だ。食うに困り、衣服に苦労し、住むところすら不定。しかし、この世界においてそれは特別なことではない。
★生まれボーナス [鉄の胃袋+3][貧者の瞳+3][スリのコツ+1]
★浮浪者
お前は浮浪者だ。食うに困り、衣服に苦労し、わずかな水と食料を求めてさまよい歩く。しかし、この世界においてそれは特別なことではない。
★生まれボーナス [鉄の胃袋+1][交渉術+1][歩くコツ+2]
★奴隷
お前は奴隷だ。捕まり、虐げられ、今まさに命の灯火が消えかかっている。しかし、この世界においてそれは特別なことではない。
★生まれボーナス [鉄の胃袋+2][労働のコツ+2][苦痛耐性+3][貧者の瞳+2]
★盗賊
お前は盗賊だ。善良に生きる人々から糧を奪い、誰かの涙で飯を食う。しかし、この世界においてそれは特別なことではない。
★生まれボーナス [略奪のコツ+2][殺害適正+1]
★村人
お前は村人だ。食うに困り、衣服に苦労するが、住むところには苦労しない。村長に逆らわない限り。しかし、この世界においてそれは特別なことではない。
★生まれボーナス [鉄の胃袋+1][労働のコツ+1][料理のコツ+1]
うーん。悩むなぁ。というかまともな生まれが村人くらいしかないのは何なんだ。ドゥームダウンの世界キツすぎるだろ。
手に入るボーナス的には奴隷が1番効率良さそうだな。じゃ奴隷で。
『才能を選択しましょう!』
★才能
[剣の才][斧の才][棒の才][鎌の才][短剣の才][長剣の才][大剣の才][刀の才][短刀の才][野太刀の才][大太刀の才][抜刀の才][居合の才][曲刀の才][槌の才][槍の才][短槍の才][長槍の才]…………
うわぁ、色々ありすぎて見きれないぞこれ。システムオススメの才能とかないの?
『はい! ピックアップさせていただきます!』
あ、会話できるんだ。
★才能
[開拓の才][浄化の才][逃走の才]
ふーむ。これね? じゃあこれにしとくか。運営がオススメするってことは王道プレイなら間違いないでしょ。多分。
『全ての設定項目を完了しました!』
★名前 [イツキ]
★種族 [人霊]
★職業 [開拓者]
★レベル 0
★所持システム [ドゥームダウン][耕作ファームランド]
★生まれ [奴隷]
★才能 [開拓の才][浄化の才][逃走の才]
『上記のステータスで宜しいですか?』
「あっ、はい」
『わかりました! 今後の世界の命運は貴方にかかっています、イツキ! どうか世界を救ってください!』
世界が薄くなっていく。いや、薄くなっているのは俺の意識か。ぼんやりと意識が拡散していき、何も考えられなくな__る____。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます